上野日記

自分が主人公の小さな物語

村山由佳の『星々の舟』を読んだ

村山由佳の『星々の舟』を読んだ。2003年に文藝春秋より刊行され、第129回直木賞を受賞した連作短編小説だ。「雪虫」、「子どもの神様」、「ひとりしずか」、「青葉闇」、「雲の澪」、「名の木散る」の6編と「あとがきにかえて」が収録されている。

以下はAmazonより:

家族だからさびしい。他人だからせつない──禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄と、いじめの過去から脱却できないその娘。厳格な父は戦争の傷痕を抱いて──平凡な家庭像を保ちながらも、突然訪れる残酷な破綻。性別、世代、価値観のちがう人間同士が、夜空の星々のようにそれぞれ瞬き、輝きながら「家」というひとつの舟に乗り、時の海を渡っていく。愛とは、家族とはなにか。03年直木賞受賞の、心ふるえる感動の物語。

水島家の6人(父、長男、次男、長女、次女、孫娘)の人間模様がそれぞれの視点で語られている。兄妹の禁断の恋、不倫、いじめ、孤独、戦争体験の心の傷。「あとがきかえて」には〈これはあくまで、叶えられない幾つかの恋の物語であり、人と人とが形づくる星座、すなわち家族の物語であり、そしてまた、人々の来し方行く末をゆるやかにつないで流れる歴史の物語である〉とある。読んでいて少し辛くなってしまったが、直木賞だけになかなか良かった。






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