上野日記

自分が主人公の小さな物語

水上勉の『雁の寺』を読んだ

水上勉の『雁の寺』を読んだ。1961年に別冊文藝春秋に掲載され、同年第45回直木賞を受賞した小説で、第一部の「雁の寺」に続く「雁の村」、「雁の森」、「雁の死」を加筆して文庫として1974年に出版された。映画化(1962、若尾文子)やテレビドラマ化(1989、かたせ梨乃)もされており、映画は先日(6/24)BS松竹東急で放送されたので録画した。ようやく観れる。

以下の概要はAmazonより引用:

頭の鉢が異常に大きく、おでこで奥眼の小坊主・堀之内慈念は寺院の内部になにを見、なにをしたか。京都の古寺、若狭の寒村、そして滋賀の古刹を舞台に、慈念の漂流がつづく。著者の体験にもとづいた怨念と、濃密な私小説的リアリティによって、純文学の域に達したミステリーである。昭和36年上期(第45回)直木賞を受賞した第一部の「雁の寺」につづく「雁の村」「雁の森」「雁の死」の四部作に新たに加筆し一冊に収めた、著者の代表作だ。

時代は昭和初期。村に来た浮浪の女が産み落とした男の子を引き取った夫婦。捨吉と名付けたが13歳で寺に出され、そこから小僧(慈念)として修行が始まる。和尚の厳しさに嫌気が差していたし、自分(生い立ち、小さな体躯、デコッパチ、奥目)に対しても卑屈になっていた。ある日その和尚が行方不明となる。徐々にミステリー性やサスペンス性が増していく。

なかなか面白かったが、少し最後はなんとかならなかったのだろうか…。

そして録画していた映画を観た。あぁ白黒映画だ。小説(原作)に加えられたラストシーンは時代が戦後(1960年ごろか?)に切り替わり、いきなりカラーになったのには驚いた。


© 2002-2024 Shuichi Ueno