上野日記

自分が主人公の小さな物語

辻村深月の『ツナグ 想い人の心得』を読んだ

辻村深月の『ツナグ 想い人の心得』を読んだ。2019年に新潮社より刊行された連作短編小説で、「プロポーズの心得」、「歴史研究の心得」、「母の心得」、「一人娘の心得」、「想い人の心得」の5編が収録されている。7年前に読んだ『ツナグ』の続編にあたり、雑誌連載中は『ツナグ2』というタイトルだったらしい。

以下の概要はAmazonより:

顔も知らない父親に、事故死した幼い娘に、片思いしていたあの人に、もしも会えるなら。一生に一度だけの死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年に亘って務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、会社員として働きながら依頼を受ける彼の元に、亡き人との面会を望む人々が訪れる。依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていて―。

前作では高校生だった歩美は大学を卒業し社会人になっていた。使者(ツナグ)の仕事は祖母から受け継いだが、その祖母は1年前に亡くなっていた。それでも彼は使者の仕事を問題なくこなしていた。

今回の依頼は、「顔も覚えていない父親に会って文句を言いたい」、「歴史上の人物に会いたい」、「事故死した娘に謝りたい、若くして病死した娘にお礼を言いたい」、「突然亡くなった父親に合わせるべきか使者が悩む」、「長年思い続けてきた女性に会いたい」というものだった。戦国時代の歴史上の人物に会いたいという設定には驚いた。ほかに会いたい人がいるだろうに…。また、亡くなった人に会わずに問題を解決できたという話もよかった。それにしても、どれも心温まるいい話だった。

樹木希林さんは亡くなったけど、続編の映画を期待している人は私だけではないと思う。




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