上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾『卒業』を読んだ

東野圭吾の『卒業』を読んだ。2009年の新装版が刊行されるとき『卒業―雪月花殺人ゲーム』から改題されたらしい。また、加賀恭一郎シリーズの第1作となる長編ミステリーだ。この本を書店で手に取った時、本の帯にテレビ「新参者」の宣伝があった。TBSで放送された「新参者」は面白く、毎週楽しみにしていた。阿部寛が演じた刑事が「加賀恭一郎だったのかぁ……」というほど、その加賀という名前はすっかり忘れていた。東野圭吾はあまり読んでいないので、私自身が東野圭吾ファンの「新参者」かもしれない。

加賀恭一郎が警察官になる前の大学4年の時に事件が起きる。同じ大学に通う高校時代からの友達7人、その一人(女子学生)が自宅のアパートで死体となって発見される。自殺なのか他殺なのかと死の謎を探る。そして、第二の事件が発生する。いろんなことが起き、それぞれが無関係に見えてが次第に絡み合っていく。そしてその複雑になった謎とき……
サークル活動(剣道部、テニス部、茶道部)、卒業論文、就職活動という学生生活の真っただ中が舞台になっている。時代背景は本書が発行された昭和60年ごろだろうか、もしくは著者の学生時代だろうか。たぶん、私が学生だったころとあまり変わらないだろう。加賀たちは行きつけの飲み屋があり、仲間同士でいろんなことを話し合う。ちょっと羨ましく思った。私自身もマンドリンクラブで4年間活動し、毎年の定期演奏会に向けて一生懸命練習し、青春時代を謳歌したと思っている。

大学卒業からもうすぐ27年になろうとしている。その間何か考えるべきことがあったのではないか。いろんな意味でいろんなことから、私は「卒業」しきれていないのかもしれない……

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