奥田英朗の『イン・ザ・プール』を読んだ。2002年に文藝春秋より刊行された連作短編小説集で「イン・ザ・プール」、「勃ちっ放し」、「コンパニオン」、「フレンズ」、「いてもたっても」の5編が収録されている。『精神科医 伊良部シリーズ』の第1弾で第127回（2002年上半期）直木賞候補になった。2005年に映画化、2009年にはアニメ化されている。
以下の概要はAmazonより：
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。
イン・ザ・プール：ストレスにより下痢が続き診察を受ける。適度な運動が良いと言われ水泳に没頭する。
勃ちっ放し：陰茎強直症に悩まされる男性。外出もままならず、会社では周り特に女性の視線を気にする。特にこれといった治療方法がないため次第に追い込まれていく。
コンパニオン：自意識過剰なコンパニオンの女性。常に誰かに見られている、ストーカーに違いないと恐怖感を覚える。
フレンズ：携帯依存症の高校生。携帯電話を片時も話すことができず、手放すと左手が古枝市止まらない。友達との関係をとても気にしている。
いてもたっても：強迫神経症の男性。外出時にタバコの火の始末をちゃんとしたか気になり何度も確認する。そして症状は更にひどくなるが、思わぬ幸運も訪れた。
伊良部総合病院の息子で精神科医の中年医師とそこを訪れる患者の話。医師は見た目の印象や態度・言動が悪くヤブ医者じゃないかと患者から訝られる。ただ、医師のちょっとした一言やとんでもない行動で患者の病状は快方方向に向かう。どうやら計算ずくめではなく、たまたまそうなったのではないかと思わせるところがよい。なかなか面白かった。
第2弾の『空中ブランコ』も読んでみたくなった。
