上野日記

自分が主人公の小さな物語

伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』を読んだ

伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』を読んだ。2000年に新潮社より刊行された、長編ミステリー(推理)小説で、伊坂氏のデビュー作でもある。また同年に第5回新潮社ミステリー倶楽部賞を受賞した。本書は、2003年発行、2010年46刷の文庫本で、文庫化に際し改稿されている。


コンビニ強盗に失敗した主人公は気づくと150年前(江戸時代)から外部と交流がない荻島(仙台市近く牡鹿半島のずっと南側に存在する架空の島)にいた。そこは田舎ののどかな風景で現在の日本と変わりないが、不思議な人々(嘘しか言わない画家、殺人を許された殺し屋)がいた。一番不思議なのは、未来が見えてしゃべるカカシが田圃に150年前から立っていることだ。ある日そのカカシがバラバラにされ殺され、その頭が持ち去られた。カカシは自分の未来が見えなかったのか…。
「オーデュボン」ってなんだろうと思っていたら、実在した人物で、米国の画家であり鳥類研究家だった。100年前に乱獲により絶滅した「リョコウバト」とう鳩がひとつのキーになっている。数億羽いたとされるリョコウバトが絶滅したという件は架空の話なのかと思っていたら、調べてみると実際の話だったのには少し驚きを覚えた。
カカシの死の謎、不思議な人々の行動、オーデュボンとリョコウバト、それぞれがジグソーパズルのそれぞれのピースのように絡み合い、その謎がとかれていく。なかなか面白かった。

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