上野日記

自分が主人公の小さな物語

朝井リョウの『桐島、部活やめるってよ』を読んだ

朝井リョウの『桐島、部活やめるってよ』を読んだ。2010年に集英社より刊行され、第22回小説すばる新人賞を受賞し、2012年には神木隆之介主演で映画化された青春小説だ。

以下のあらすじはWikipediaより:

男子バレーボール部のキャプテンだった桐島が部活をやめることをきっかけに、同級生5人の日常に些細な変化が起こる。本作は5編からなるオムニバス形式によっており、全体的なストーリーの起伏よりも、各登場人物の心理を描くことに作品の主眼がある。各登場人物はそれぞれ悩みを抱えており、またそれを隠したまま互いに表面的に交わり、出来事が進む。ある編でも別の編の主人公が出てくるが表面的にしか書かれず、その編の主人公の視点からは、別の編の主人公の内心について何も分からないようになっている。5人の主人公以外の登場人物も、直接には言及されていないが不穏なものを持っているかのようにも書かれる。全5編のうち、第5編にあたる菊池宏樹編のみ、冒頭が分離して全体の頭におかれており、これがストーリーの始まりを告げる役割を果たしている。

高校2年の男女が交互に自分の心境を語るオムニバス形式で話は進む。バレー部キャプテンの桐島が部活をやめるというのは単なる話のきっかけだったのか…。高校の多感な時期の男女関係、家庭の事情、同級生同士の格好良さの比較など細かな心情が描かれている。10年も経てば遠い思い出になるようなことを真剣に悩み。そして成長していくのか。

自分が高校生の頃何を思っていたのか思い出せない。登場人物のひとりのようにイライラしていたのかもしれない。

2013年に直木賞を受賞した『何者』を読んだが、あまり好みではなかったので他の作品は読んでいなかった。ただ先日映画がテレビで放送されたので、それを観る前に原作を読んでみようと思った。今時の若者言葉が使われていて読みづらい部分も多々あったが、少年少女たちの心情などが純文学のような文章がとても印象的だった。

そして映画を観たが、作者が言いたかった細かな心理や彼らが背負っている(背負わされている)微妙な人間関係などが描き切れていなかったのはとても残念だ。

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