重松清の『いとしのヒナゴン』を読んだ。2004年に文藝春秋より刊行された長編諸説で、2005年には伊原剛志・井川遥主演で『ヒナゴン』と題して映画化された。
以下のあらすじはWikipediaより。
物語の舞台は、累積赤字が増大し、隣町との合併問題に揺れる広島県の田舎町・比奈町。大人になっても謎の未確認生物“ヒナゴン”の存在を信じ続ける元ヤンキーの町長・イッちゃんが、幼馴染の悪友たち、そして、みんなの憧れのヒロイン・信子を巻き込んで、ささやかな奇跡を起こす。
「30年ぶりにヒナゴン(未確認生物)の目撃情報で沸き立つ町の珍騒動の物語」と思いながら読み始めたら違っていた。財政難に苦しむ町は隣接する市と合併しないと生き残れない。そんな町を立て直したいと東京から返ってきた青年、希望の仕事に就けない女性が、故郷で悩みながら奮闘する。町のことを真剣に考えながら…。
最後に以下のような言葉があった。
ほいでも、まあ、元気でがんばっとりゃええよ。また、どげんもこげんもならんようになったら、比奈に帰ってくりゃええ。生まれ故郷には錦を飾らんでもええんじゃ。ぼろぼろになって帰っていく場所にすりゃあええんよ。なーんも見栄を張ることはない。なーんもカッコつけんでもええ。身一つで帰っていける場所がある者は、幸せよ。ふるさとがある者は、ほんまに幸せなんじゃと思うよ、わしは
もう少し真面目に考えないといけない時期はとうに過ぎてしまったが、再度考えさせられた。