角田光代の『八日目の蝉』を読んだ。2007年に中央公論新社より刊行され、同年第2回中央公論文芸賞を受賞した小説だ。2010年にはNHK総合にて檀れい・北乃きい出演でドラマ化、2011年には井上真央・永作博美出演で映画化された。
この小説は映画の宣伝で知り、以前から読みたいと思っていた本のうちの一つだったが、ようやく読むことができた。ドラマ版・映画版も観てみたい。
1985年、不倫相手の子を堕胎した女性は生まれたばかりの不倫相手の子どもを衝動的に誘拐し3年半の逃亡の末、小豆島で逮捕される。その17年後の2005年、誘拐された女の子は大学生になっていた。マスコミで大々的に報道された誘拐事件のせいで周りからは好奇の目で見られながら育ち、学校ではみんなから無視される。両親とも過去のこだわりからうまくいかない。ある日少女は不倫相手の子を身ごもり、自分を誘拐した女性と同じ道をたどろうとしていることに気付く。
女性は逃げ通せれば母親になれたのだろうか。7年間地中で暮らした蝉は地上に出て七日目に死ぬ。七日で死んだ蝉よりも、みんなと一緒に死ねなかった八日目に生き残った蝉のほうは悲しいのだろうか。それもと別の世界を見ることができて幸せなのか。
少女の過去を知る女性が現れて小豆島に行こうと誘う場面を読んで「ひょっとしたらラストは……」と思っていたが、ちょっと裏切られたのは残念だった。でも、少女にはそのほうがよかったのかな。