上野日記

自分が主人公の小さな物語

町田そのこの『52ヘルツのクジラたち』を読んだ

町田そのこの『52ヘルツのクジラたち』を読んだ。2020年に中央公論新社より刊行され、2021年に本屋大賞を受賞した長編小説だ。町田そのこの初の長編小説らしい。

以下はAmazonより:

52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。

実母と義父から虐待を受けて育った女性。自分の声は誰にも届かない。でも、そこから助け出してくれた人がいた。しかし付き合った男性から束縛と暴力を受けてしまう。全てを捨てて祖母が暮らしていた大分に引っ越したところ、どこかで虐待を受けている少年と出会う。自分が助けられたいように、その少年を助けようとする。助けを呼ぶ声を聞こうとする。「52ヘルツの声」を聞こうとする。

さすが本屋大賞を取るだけの作品だ。なかなか面白かった。


【2023/12/26追記】2024/03/01に杉咲花主演の映画が公開されるらしい。


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