上野日記

自分が主人公の小さな物語

朝倉かすみの『田村はまだか』を読んだ

朝倉かすみの『田村はまだか』を読んだ。2008年に光文社から刊行され、2009年に30回吉川英治文学新人賞を受賞した連作短編小説だ。目次を見て短編だと思い、次の短編を読みだしたら続きだったのでちょっと驚いた。そして、表紙の絵が田村じゃなかったのにも驚いた。ただ「なるほどね」とは思ったけど。

小学校のクラス会の三次会のスナックにいる男女5人とスナックのマスターが大雪で遅れてくる田村を待ち続ける。「田村はまだか」、「遅いぞ、田村」、「なにやってんのよ、田村」、「田村、遅すぎない?」と。28年ぶりで、みんな40歳になっている。田村を待つ間に、小学校の頃やそれぞれが人生で出会った人、身の上に起ったことを思い出す。最後の展開に意表をつかれ、そしてほろりとさせられた。なかなか面白かった。
小学校のクラス会があったのは5年前だった。担任の先生の定年と還暦の祝いを兼ねて行われた。あのときは、二次会がカラオケでほぼ全員参加、三次会はスナックみたいなところに男ばかり4、5人だったかな。他愛もない話で盛り上がったような気がする。今度は10年後か、自分たちが還暦になる15年後にやりたいねという話をしたような気がする。

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