三浦しをんの『むかしのはなし』を読んだ。2005年に幻冬舎から刊行され、同年の名奥賞候補となった短編集だ。日本昔話を現代風に書き替えたらこうなるだろうという物語だ。
「ラブレス」(かぐや姫)、「ロケットの想い出」(花咲か爺)、「ディスタンス」(天女の羽衣)、「入江は緑」(浦島太郎)、「たどりつくまで」(鉢かつぎ)、「花」(猿婿入り)、「懐かしき川べりの町の物語せよ」(桃太郎)の7篇からなる。各短編の最初にモチーフにした日本昔話の概略が記載されており、それを読んでから本文を読むと「あぁなるほどね」という感じになる。でも、全く別の話としてとらえることができる内容だった。実に面白い。