石田衣良の『4TEEN』を読んだ。2003年に直木賞を受賞した小説だ。目次を見たら、「びっくりプレゼント」、「月の草」、「飛ぶ少年」、「十四歳の情事」、「大華火の夜に」、「ぼくたちがセックスについて話すこと」、「空色の自転車」、「十五歳への旅」とあったので、短編集かと思ったら、ちょっと違っていた。
中学2年生、14歳の4人の少年(テツロー、ダイ、ナオト、ジュン)の青春小説だ。身近で起きそうな、といっても小説のような事件は滅多に遭遇しないが、恋の話・エッチな話・家族の話・自転車での小旅行の話など、そして少しずつ大人になっていく。
14歳なので"4TEEN"なのだろう。2年後の描いた『6TEEN』という続編もあるそうだ。"10代(TEEN)の4人の少年"ともとれるのかなと思った。
「石田衣良」をWikipediaで調べたら、同い年、彼は早生まれなので学年は1つ上だ。テレビではよく見かけていたのでもっと若いと思っていた。本名の石平庄一の姓(石平:いしだいら)を分割したものだというもの初めて知った。なるほどねぇ。かなりの読書家だったらしく、中・高・大学の頃は近所の3つ図書館から毎週4冊ずつ借り、それでも足りなくて文庫本を買っていたというエピソードにはビックリした。
「今から何年かして、自分がだめになりそうになったら、今日のことを思いだすようにしよう。あのときすごくいいやつらが四人いた。自分だって人生の最高のときには、あのメンバーにはいれるくらい絶好調だったって。今の弱さや不安を忘れないようにしよう。そうしたらきっと……」
「でも、それだけじゃ、生きていてもあまりいいことはないかもね」
「確かにいいことはないかもしれない。でも、それができたら、どんな悪いことにもなんとか耐えられる。なんとか生き延びて、悪い時期を我慢できるなら、もうゲームなんて勝ったも同然さ」
「十五歳への旅」の最後に上記引用のような少年たちの会話がある。中学の頃こんな会話はしたことがなかったが、あのときバカ騒ぎをしたみんなはどうしているだろうか。
中学の頃の思い出って何があるだろうかとふと考えた。中3だったが当時ベイ・シティ・ローラーズ(Bay City Rollers)のサタデー・ナイト(Saturday Night)が流行っていた。友達がそのレコードを学校に持ってきて音楽室の大きなステレオで聴くことになった。放課後数人で音楽室に忍び込みレコードを聴く、そして先生が来ないか交代で渡り廊下を見張る。しばらくすると先生がやってきた。音楽の先生といっても男性でしかも担任だったので見つかってはヤバい……、みんな一斉に窓から逃げ出した、というちょっとしたドキドキ感を思い出す。