どちらもエッセイで、新聞か何かに連載されていたものだろう。
『他力』は1998年、『不安の力』は2003年に刊行されたものだ。どちらも「どう生き抜くか」という五木さんの考えが綴られている。執筆された時代背景もあるのだろう、「オウム真理教」「酒鬼薔薇事件」が頻繁で出てくる。また、戦争体験、両親兄弟の死、親鸞、法然、蓮如、仏陀も多く登場する。
不安は希望の土台です。不安を感じることが、人間が人間としてあるということの出発点なのです。ぼくは不安を肯定し、<不安の力>というものを認めたいのです。
不安のない人間はいない。不安をスタート地点にして、まずは一歩を進めたい。ただ、なかなかその一歩を進めることができない。「他力」を借りるのもいいかもしれない。背中を後押してくれる風を待つのもいいかな。