上野日記

自分が主人公の小さな物語

綿矢りさの『蹴りたい背中』を読んだ。

綿矢りさの『蹴りたい背中』を読んだ。19歳の最年少で芥川賞を受賞した作品だ。前々から読みたかった本だ。WEBで横浜市立戸塚図書館の検索機能を利用したら運よく貸し出し可能状態になっていたので早速借りてきた。2,3日前は貸し出し中だったので、誰かに先を越されてはならないと図書館までちょっと速足で歩いた。2004年末時点で127万部を発行しているらしく、私が借りた本は「215刷」だったのでちょっとビックリした。


主人公は高校に入学したばかりの少女で、周りと打ち解けられないもしくは打ち解けようとしない、どこか冷めた目で周りの同級生達を見ている。それでいてしっかり彼らを観察している。ふとしたことで同じようにひとりでいる同級生の少年と交流が始まる。恋心ではない、でもちょっと意識する少女の揺れる微妙な思いが表現されていると思う。
少女は、ラジオに没頭する少年を苛立ちから彼の背中を蹴ってしまう。蹴りたかったのだと。周りになじめない自分を彼には気づいてほしかったのだろう。もしくは、同じように自分の背中を誰かに蹴ってほしかったのかもしれない。


やはり、この少女のように新入学は緊張や不安があるものだ。小1はどうだったか覚えていない。中1は小学校から仲間がいっぱいいた。高1はやはり中学からの友達、クラスには保育園・小1からの友達もいたし、すぐにバレーボール部に入ったのであまり気にしたこともなかった。が、高2の時病気で留年し2回目の高校2年はちょっと違ったような気がする。緊張というよりは不安の方が大きかったかもしれない。始業式後のホームルームでの出席確認で先生が"あー君ね"みたいな顔をしていたのを覚えている。クラスにはバレーボール部の後輩が数人いたのでみんなから「さん」付けで呼ばれていた。
体育の授業は見学していた。授業が終わり運動場から教室への帰りでN君が声をかけてくれたのが最初だったと思う。それから次第に親しくなり、そして徐々に話をする友達が増えてきたと思う。悲惨な高校生活にならずに良かった。

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