上野日記

自分が主人公の小さな物語

本多孝好の『MOMENT』を読んだ

本多孝好の『MOMENT』を読んだ。2002年に集英社より刊行された連作短編集だ。数か月前に新聞に『WILL』の広告があった。正確には覚えていないが「『MOMENT』から7年、ファン待望の続編 xx万部突破」のような感じだった。いつか読みたいと思っていた本で、図書館で見つけて借りてきた。

概要は本書裏表紙の説明を引用。

死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら……。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望――。静かに胸打つ物語。

「末期患者の願いをひとつだけ叶える」という話だったので、感動ものの話なのかと思い読み進めたら、少し違っていた。願いを叶えようとする主人公が患者の恨みを晴らすために利用されたような形になったのは意外だった。ただ、生と死に対する考えや死んでも忘れないでほしいという患者の熱い思いは受け止めてくれたようだ。
まあ、なかなかよかったかな。

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