池上永一『テンペスト<下>花風(はなふう)の巻』を読んだ。2008年に角川書店より刊行された長編小説の下巻だ。上巻の感想はこちらから。
主人公の秘密(寧温と真鶴が同一人物)を知る中国(清国)の宦官を殺し、八重山島に流刑されたところから後半の話が始まる。
八重山でひと働き(イギリス艦隊との交渉)したが流人である身でそんなことをしたことが王府にばれて逃げる。山奥で老婆に助けられ機織りをしながら女性(真鶴)として暮らしていると、王宮に戻る話が出た…と思ったら、なぜだか王の側室になり、寧温の島流しの刑は恩赦となり役人(寧温)と側室(真鶴)の二重生活が始まる。ペリー提督と交渉して琉球王朝に有利な条約を結ぶことができたが、そうこうしているうちに王の子供を宿し、産んだら、実の兄から秘密がばれて、子供を連れて王宮を逃げる。生まれた子供を主人公に負けず劣らずの天才ぶりだ。主人公はその子に勉強を教える。子供は役人になって母親を楽にさせたいと願う。でも、日本は明治を迎え、琉球王国は日本に滅び琉球から沖縄県になり王族は東京に連れて行かれる。
琉球王国の滅亡と同時に、琉球をひたすら守ろうとした寧温も心から消えていた。そして真鶴の心には安らぎが訪れたのだろう。宦官として、女性として、そして母親として、波乱万丈の人生を送った真鶴は、ようやく幸せをつかむことができたのかな。その後どのような人生を歩んだのだろうか。
[追加]
『テンペスト』、原作を読み終わったので、昨年末録画していた全10話を漸く観終わった。原作と多少違っていたが、よかった。そして泣けた。