浅田次郎の『天国までの百マイル』を読んだ。1998年に朝日新聞社より刊行された小説で、映画化(2000年、時任三郎主演)やテレビドラマ化(2001年、西田敏行主演)、舞台化もされている。西田敏行が主演したテレビドラマ版は観たような気がするが、内容をあまり覚えていなかったので読んでみることにした。
自分の会社を倒産させ、妻子とも別れた仕送りもままならない40歳の男性<安男>が、心臓を患う年老いた母親を救うため、奇跡を信じて百マイル離れた千葉県の病院まで運ぶ。母親の思い、分かれた妻の思い、倒産後に生活を支えてくれたホステス<マリ>の思い、兄姉への思い、彼を取り巻く人間模様には泣けた。特に<マリ>の辛い生い立ちとは裏腹に明るい性格と<安男>への愛情はとても切なかったし、<安男>の母親への思いにも泣けた。
十数年前だったが母親が心臓の手術をした。まぁ大丈夫だろうと思い見舞いにも行かなかったが、なんかこの小説に出ている長兄次兄のような感じかもしれないとちょっと反省した。読んでいてちょっと辛かった。かなり長い手術後に下の妹から手術が無事に終わったという電話があり泣き出されたのにはちょっと困った。そして、かける言葉が見つからなかったのが情けなかった。そんなことをこの小説を読みながら思い出してしまった。