上野日記

自分が主人公の小さな物語

森博嗣の『幻惑の死と使徒』を読んだ

森博嗣の『幻惑の死と使徒』を読んだ。1997年に講談社より刊行された「S&Mシリーズ」の第6弾の長編ミステリー小説だ。

以下の概要は裏表紙より:

「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か?幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。

マジシャンが脱出マジックの最中にナイフで殺され、葬儀の時に棺桶から消える。その謎に迫る萌絵と犀川。そのマジシャンの弟子も別のビル爆破からの脱出ショーで殺されるという第2の殺人事件が発生する。で、意外な人物が犯人でその正体と緻密な計画には驚かされた。確かに森博嗣の「ミスディレクション」の素晴らしさだろう。

巻末の解説は引田天功(プリンセス・テンコー)だった。解説はななめ読みか読み飛ばすことが多いのだが、今回は興味深く読ませてもらった。なるほどね。

本書は「S&Mシリーズ」第7弾の『夏のレプリカ』と同時進行しているらしく、奇数章だけで構成されていた。きっと『夏のレプリカ』は偶数章だけなのだろう。こんな奇抜なことを考えられること自体すごいと思う。

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