上野日記

自分が主人公の小さな物語

島崎藤村の『破戒』を読んだ

島崎藤村の『破戒』を読んだ。「1905(明治38)年、小諸時代の最後に本作を起稿。翌年の1906年3月、緑陰叢書の第1編として自費出版」されたらしい。本書は、1954(昭和29)年に新潮社より発行された文庫本(2007年130刷)だ。

島崎藤村の名前と『破戒』という小説の名は以前から知っていたが内容は全く記憶がなかった。図書館で手に取り裏表紙の説明を読んでから読み始めたのだが、文章や仮名づかいなどは多少現代風に書き直してはあるものの明治の小説はとても読みづらく、一旦は諦めてしまった。数カ月後、図書館をウロウロしたが読みたい本がなかったので、再度この本を手に取り読み始めたところ、面白く引き込まれていった。
以下は裏表紙のあらすじ(Amazonからコピペ):

明治後期、部落出身の教員瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていたにもかかわらず、同じ宿命を持つ解放運動家、猪子蓮太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。その結果偽善にみちた社会は丑松を追放し、彼はテキサスをさして旅立つ。激しい正義感をもって社会問題に対処し、目ざめたものの内面的相剋を描いて近代日本文学の頂点をなす傑作である。[付・北小路健「『破戒』と差別問題」]

本を読み進めるも主人公はなかなか身分を明かさない。どうするのかと思ったら最後でようやく身分を明かす。テキサス行きの話もでるがこの小説には書かれていない。なんと、書かれていた「あらすじ」自体は小説全体の話だったと分かりちょっとびっくりした。
ただ、主人公の心の葛藤がとても詳しく綴られており、自分までも苦しくなるよう感じになりのめり込みながら読んだ。そして自然描写などがとても繊細に描かれており、そこにも引き込まれてしまった。
「部落問題」とか「同和教育」は小学校の頃にあったような気がする。ただあまり覚えていない。平成になった今でもやっているのだろうか。歴史が深いだけに根も深そうだ。
読んで良かった。

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