上野日記

自分が主人公の小さな物語

吉田修一の『横道世之介』を読んだ

吉田修一の『横道世之介』を読んだ。2009年に毎日新聞社より刊行され、2010年度の柴田錬三郎賞を受賞し、同年度の本屋大賞3位に入賞した長編小説だ。2013年には、主人公の横道世之介役に高良健吾、ヒロインの与謝野祥子役に吉高由里子映画が公開される予定だ。

映画化のニュースを知り図書館に予約をしようと思っていたやさき、図書館内をウロウロしていたら本棚にあるのを見つけ、「お、ラッキー」とつぶやきながら即借りてきた。

長崎の港町から東京の大学入学した青年(横道世之介)の1年間(1980年代後半)の平凡な生活が描かれている。入学式や学食で出会った友達やサークルの先輩、自動車教習所で出会った彼女、田舎の友達のふれあいが生き生きと語られて青春物語だ。

世之介と出会った人たちの15年後から20年後の話が所々に挿入されている。一生懸命生きてきた人たちは、ふと世之介のことを思い出す。今どうしているのだろうか、と。

世之介自身は幸せだったのだろうか。色々な人と出会い学生生活を満喫していた世之介青年がその後どのような人生を歩んでいったのか知りたい。もやもや感が残り、少し切なくなった。

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