上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『幻夜』を読んだ

東野圭吾の『幻夜』を読んだ。2004年に集英社より刊行された長編推理小説だ。この本は2007年に集英社文庫から刊行された文庫本だ。2010年にはWOWOWより深田恭子主演ドラマとして放送された。

4月に読んだ『白夜行』の姉妹作と言われているらしい。いつか読みたいと思っていた作品で、古本屋で見つけ買ってきた。『白夜行』は1973年から1992年までの話で、『幻夜』は1995年から2000年となっている。主人公はどちらも「アーモンド形の目」を持つ女性だ。「『白夜行』三部作」としての続編が期待されている。
阪神淡路大震災で両親を失った女性と地震のどさくさに紛れた叔父を殺した男性が共存するように助け合いながら生きていく。女性は表舞台でとことんのしあがるが、男性はそれを裏で支え手を汚していく。女性はいったい誰なのか、次第にその秘密が暴かれようとする。

女性は、「自分の目的のためならば、誰であろうとも容赦はしない。誰が不幸になろうとも一向に構わないという考えの持ち主」で、まるで魔性の女だ。男性は「何があっても彼女を守る。たとえ彼女との夜が幻であっても――」と一途だ。

主人公の女性は絶世の美女で話術にも長けている、どんな男でもあっさりとだまされてしまう。まるで魔法にでもかかったようにだ。『白夜行』もそうだったけど、男って悲しい生き物なのかもしれないと思ってしまった。

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