上野日記

自分が主人公の小さな物語

「ネットワーク高速化セミナー」に行ってきた

ネットワーク高速化セミナー 〜クラウドの浸透で導入が加速する高速化ソリューションを探る〜」に行ってきた。

  • 日時:2010年7月2日(金)13:00〜17:30
  • 会場:海運クラブ 2Fホール(東京都千代田区平河町
  • 主催:日経コミュニケーション
  • 協賛:ブルーコートシステムズ、エクストリーム ネットワークス、リバーベッドテクノロジー/ソリトンシステムズ、日本ラドウェア、ほか

社内サーバの統合やクラウド化により、分散拠点・地方拠点やクラウドサーバを使用する場合、ネットワークの遅延が大きな問題となっている。これを解決する「WAN高速化装置」の話が主だった。
現状、自分自身はあまり関係ないが、なかなか面白い話を聞けたと思う。

ただ、各社の発表は自社製品の宣伝なので、それを念頭に置いて聞かないといけない。


セミナーは撮影禁止だったので、写真はこれだけだ。

基調講演:クラウドの浸透で導入が加速する、高速化手法の違いで構成が変わる、ネットワーク高速化ソリューションに迫る!

アイ・ティ・アール シニアアナリスト 甲元 宏明 氏

内容としては以下だった。

  • WAN高速化装置とはどのようなもので、国内動向はどうなのか
  • 「ソリューションクローズアップ」で作成した疑似RFPの内容とRFP作成時のポイントはどのようなものなのか
  • WAN高速化に関連した今後のネットワークシステムの方向性は

WAN高速化装置の普及率はまだ低いが、各WAN高速化装置ベンダーはここ数年売り上げを大きく伸ばしている。

ファイルサーバは各拠点に分散されていたため当初は受けが悪かったが、最近の状況は、企業システムがデータセンタに集約される傾向にある、コスト削減・内部統制対応のためにサーバの統合化を推進、拠点とデータセンタ間の通信量が飛躍的に増加、海外拠点のWAN化が進んでいるがセキュリティ強化のためにサーバを国内データセンタに設置している、などにより注目を集めている。

WAN高速化装置の機能としては、キャッシュ、データ圧縮、プロトコル高速化、トラフィック制御があり、ファイル共有ではスループットを数倍から数十倍に向上させることが可能らしい。また、通信回線の種類や帯域、アプリケーションの変更なしにパフォーマンスを向上させることが可能とのこと。

そのためには、「製品による得手不得手」、「インテグレータのスキル・経験」がソリューション選定上のポイントとなる。ネットワークは「生き物」なので、経験や構築事例の少ないインテグレータを選ぶと失敗する可能性が高くなる。「ネットワーク現状の定量的把握」「パフォーマンス低下の根本原因追究」「入念なテスト計画」が設計上のポイントとなる。

「疑似RFP」は、面白くなかったので割愛する。ちなみに、疑似RFPの構成は以下だそうだ。

  1. プロジェクトの背景
  2. 現状ネットワーク概要
  3. プロジェクトの目的
  4. プロジェクトの位置づけと基本方針
  5. 主要要件
  6. 前提事項
  7. 委託予定業務
  8. 成果物
  9. テスト要件
  10. プロジェクトマネージャに関する情報開示
  11. 提案書の章立て
  12. 見積提示方法
  13. プレゼンテーション
  14. 提案評価指針
  • WAN高速化に関連した今後のネットワークシステムの方向性

リスクを最小限に抑え、クラウドコンピューティングへスムーズに移行するには

ブルーコートシステムズ SEマネージャー 小林 岳夫 氏

  • クラウド・コンピューティング適用前の5つのポイント
    • ウェブの高速化のためのシームレスな展開
    • リッチメディアには管理と最適化が必要
    • シンクライアント&デスクトップ仮想化
    • 仮想化の高速化&高速化の仮想化
    • モバイルユーザに同じレベルの性能とセキュリティを

物理的環境から仮想化、クラウドと移行するにあたって

エクストリーム ネットワークス システムズ・エンジニアリング部 システムズエンジニア 笹川 裕 氏

仮想化によってネットワーク構成は複雑化(スイッチ階層が1または2層も増加)する。これを簡略化する必要がある。Direct Attachで管理の複雑化の低減、パフォーマンスの改善を図れる。

クラウド、サーバー統合、DR、キーはWAN高速化!

リバーベッドテクノロジー/ソリトンシステムズ ソリトンシステムズ プロダクトマーケティング本部 製品担当マネージャ 高田 歩 氏

MS-DOSTCP/IPを実現する「日本語TCP/IP」を作っていた会社だそうだ。

「働く場所の多様化」「データ量の増加」「コスト削減」等の環境の変化でWANの注目度がアップしている。

  • WAN高速化はなぜ必要か?
サーバ統合編
遠いところからデータをダウンロードする必要があり。遅くなる。
シンクライアント
WAN経由だと遅くて仕事にならない
ディザスタリカバリ
夜間中にバックアップが完了しない
モバイル編
WAN経由で社内にアクセスする
クラウド
SaaS、PaaS、IaaS
  • WAN環境の問題
    • WAN回線の慢性的な問題(帯域不足、スループット低下)
    • 様々なアプリがWANを経由
    • モバイルPCの利用
    • 大容量データがWANを超える(バックアップなど)

これらの問題を解決するのが「Steelhead」という製品らしい。

WAN高速化には、Steelheadを導入することにより5000Kmの距離が1m先のようになる。

高速化の仕組:同一データはWANに流さない、TCPウィンドサイズを仮装的に大きくする、トランザクション予測で応答時間を短縮、CIFS・MAPI・NFSHTTPS(Notes、Citrixは次期バージョン)に対応、無駄な応答はWANに流さない。

クラウドコンピューティングに必須! マルチホーミングネットワークの活用方法

日本ラドウェア ソリューションアーキテクト 出雲 教郎 氏

複数のISPからなるネットワーク構成で、End-to-Endで最適な回線を選択して、ネットワークのアクセス速度の向上をはかる製品の紹介。

特別講演:ユーザーが選ぶWAN高速化ソリューションはどれだ?〜5月号読者アンケートの結果も公開

日経コミュニケーション編集長 河井 保博

読者アンケート調査:高速WAN装置を導入している12.4%。検討している15.2%。

徐々に浸透している。国際ネットでは高速WAN装置の要件を指定しなくても提案に入る。理由は、遅延が大きいから、回線料金が高いから。

読者モニターで調査。利用シーン。国内だけで利用が7割。国内と海外の双方は2割。

2010年度の予算の重点項目として、WANの見直しが2位と4位に入っている(30%弱)。WANの高速化装置の導入は3.5%と低い。

1拠点あたり300万円前後。気軽に導入できる価格とは言い難いが、月々の通信料金を押さえることで相殺できる。

WAFS自体が安価になれば、たとえば仮想アプライアンスになって、たとえば通信事業者が戦略的に、たとえばレンタルモデルで、導入できる。

実際に導入するとなると、高速手法は色々(キャッシュ、圧縮、プロトコル処理の最適化TCPウインド拡大)ある。

構成にも違いがでてくる。

読者の選択はケースバイケースで、どの仕組みがいいかは人それぞれである。

  • 製品による特徴も考慮に入れて
  • WANサービスをみると別の選択肢が
    • データセンター利用増
      • 高速で信頼性の高いWAN利用の加速
      • 安価なネットワークの利用拡大
      • WANを流れるデータ容量の増大
      • バースト対応と一部帯域確保
  • サーバまわりはどうする?
    • ボトルネックは移動する
    • WANだけが問題だとはかぎらない
    • 特に仮想化環境では気になるはず:LANの高速化、セグメント分割、負荷分散
    • 仮想化で変わるボトルネック
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