上野日記

自分が主人公の小さな物語

貫井徳郎の『乱反射』を読んだ

貫井徳郎の『乱反射』を読んだ。2009年に朝日新聞出版より刊行され、第63回(2010年)日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞し、第141回(2009年)直木三十五賞候補作となった長編小説だ。2018年9月22日にテレビ朝日系で放送されたメ~テレ開局55周年記念ドラマ(主演・妻夫木聡井上真央)を録画し、ようやく原作を読むことができた。

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以下の概要はWikpediaより:

強風で街路樹が倒れ、側を歩いていた女性が押していたベビーカーに直撃する。止まらない血に動転する母親を様々な不幸が襲う。病院の患者たらい回し、軽い風邪程度で夜間救急を利用する若者たち、ある病気により街路樹の診断を怠ってしまった業者、街路樹の伐採に反対し診断業者を追い返した主婦たち、プライドから犬のフンの片付けを途中で切り上げた市役所の職員、犬のフンを片付けなかった老人、少しずつのモラルのない身勝手な行動が不幸の原因を作っていった。

街路樹が強風で倒れ、ベビーカーに乗った男児が死亡する。間接的だが色んな人がその事故の小さな要因として関わっている。法ではさばけないモラルの問題だ。新聞記者でもある死亡した男児の父親は、何故息子が死んだのか関わった人々に話を聞きに回るが、誰一人として謝ろうともせず自分は関係ないと主張する。苦悩と苛立ちに極限状態まで達する。「なぜみんな謝ってくれないのか」と。なかなか面白かった。

読了後録画していたドラマを観たが、やはり2時間ではこの長編を表しきれなかったようで、とても残念な結果となっていた。もう少しいい方法はなかったのだろうか…。

図書館から借りてきた本を読んでいたのだが、単行本なのに字が小さすぎてとても辛かった。仕方ないのでAmazonKindle本を購入して読んだ。いつもは無料版(青空文庫)しか読んだことがなかったので、初めての有料版の購入となった。やっぱり、タブレットだと字を大きくしたりできるので非常に読みやすかったし、読書が捗った。

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