上野日記

自分が主人公の小さな物語

中山七里の『護られなかった者たちへ』を読んだ

中山七里の『護られなかった者たちへ』を読んだ。2018年にNHK出版より刊行された長編推理小説で、宮城県警シリーズ第1弾だ。2021年には佐藤健主演で映画化公開され、第45回日本アカデミー賞優秀作品賞をはじめとした多数の部門優秀賞を受賞したらしい。

以下の概要は図書館の要旨より引用:

仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か?なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?罪と罰、正義が交錯した先に導き出されるのは、切なすぎる真実―。

仙台市内で拘束され餓死した死体が見つかった。福祉保険事務所の職員で人に恨まれるような人物ではなかった。次に同様な餓死殺人事件が発生し、県議会議員で人格者であり人に恨まれることはないという。事件を捜査する警察は手がかりのなさに困惑するも、やっとのことで二人のつながりを見つける。母のように慕っていた人物を餓死に追いやった福祉保険事務所に恨みを持つ人物を追う。

生活保護制度に絡めた社会派ミステリというだけあって、なかなか面白かった。読んでいてミスリードさせられた感はあるが、結末には驚いた。


【2024/03/14追記】そして映画を観た。原作と少しだけ違っていたが、たくさんの賞を受賞するだけあって、なかなか良かった。




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