上野日記

自分が主人公の小さな物語

さだまさしの『解夏』を読んだ

さだまさしの『解夏』を読んだ。2002年に幻冬舎より刊行された小説集で、「解夏」、「秋桜」、「水底の村」、「サクラサク」の4編が収録されている。大沢たかお主演の映画『解夏』は観たことがあったので、今更原作を読む気にはなれなかった。ところが先日、緒方直人・南果歩藤竜也出演の映画『サクラサク』が放送されたので、それを見る前に原作を読みたくなり図書館から借りてきた。

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以下の概要は裏表紙より:

東京で教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。そこへ東京に残した恋人の陽子がやってくる。この先の人生を思い悩む隆之。彼を笑顔で支えようとする陽子。ある日、二人はお寺で出会った老人から「解夏」の話を聞く―。表題作他、人間の強さと優しさが胸をうつ、感動の小説集。

解夏:小学校教師がペーチェット病を発症し徐々に視力を失っていく。その苦悩と立ち直りが描かれている。和尚の「結夏(けっか)」で行が始まり、「解夏(げげ)」で終わる話を聞き、病と向き合う決心をする。

秋桜:フィルピンの嫁は義父とは仲が良かったが、彼が亡くなると義母が急に厳しくなった。水商売をしていた外国の娘が息子の嫁に来れば、こんな田舎ではすぐに陰口をたたかれる。わしはそんなあなたを守らなければならない、と義父の言葉に結婚を決意した。つらく当たる義母を疎ましく思っていたが、彼女の愛を知ることになる。

水底の村:小学生の頃住んでいた村がダム建設で湖の底に沈んだ。同級生の少女の父は早くに死に、母親は男と駆け落ちをした。大学生の頃一時同棲をしていたが、堕胎を期にどこかにいなくなってしまった。それから12年、同窓会の恩師から彼女の行方が分かる。12歳になる彼女の息子と出会い「ひょっとしたら?」と思う。そんな折、雨不足でダムが干上がり沈んだ村が現れた。彼女の息子とその村に出向いたら、思いがけない人と出会う。そして、彼女ともう一度やり直したい…。

サクラサク認知症になりかけた父、浮気がばれた口もきいてくれない妻、大学も行かずバイト生活の息子、生意気盛りの娘。仕事一筋の彼の家は崩壊寸前だった。義父の下の世話もせずに出かける妻に悪態をつくも、だが息子が自分の知らないところで父親(祖父)の世話をしていることを知る。もう一度やり直すことができるかもしれないと、車を借りて家族で旅行に出かける。旅先で家族に笑顔が徐々に戻り始めた。

さだまさしの詩の世界もそうだが、どの作品も心温まる内容だった。

© 2002-2017 Shuichi Ueno