上野日記

自分が主人公の小さな物語

瀬名秀明の『小説 ブラック・ジャック』を読んだ

手塚治虫の『ブラック・ジャック』を原作とした瀬名秀明の『小説 ブラック・ジャック』を読んだ。2019年に誠文堂新光社より刊行された連作短編集で、「B・J vs. AI」、「命の贈りもの」、「ピノコ手術する」、「女将と少年」、「三人目の幸福」の5編が収録されている。

以下はAmazonより:

医療ロボット技術は日進月歩。遂に自律型AIを搭載した医療ロボットが完成。その開発チームの医師の言葉は、あたかもB・Jへの挑戦状だった(『B・J vs.AI』)。フライト前のB・Jに、青年は「弟は、いまも一四歳のままです」と言った。iPS細胞の新たな可能性を信じ、時が止まった命と対峙するB・J(『命の贈りもの』)。ある夏届いた手紙に誘われ、中東の街を訪れたB・J。同時期、遠く離れた診療所の中、留守番するピノコの目前で小さな命の灯が消えかけていた!(『ピノコ手術する』)。B・Jの友人で医師の手塚は、中学生の息子を持つ行きつけの呑み屋の女将が心配だ。わが身を顧みず働く母を思い、息子から手塚に驚愕の提案が(『女将と少年』)。母の仇かつ身体と心に消えない傷を残した男の居所を掴んだB・J。たどり着いたその場所で、「死神の化身」と呼ばれる男、ドクター・キリコと遭遇(『三人目の幸福』)。医学界に一石を投じるヒューマンドラマ!

手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』を原作とした小説で、現在医療や近未来を思わせるSF的な要素を含ませたストーリーになっている。自立型AIを搭載した医療ロボットや20年前に冷凍保存させた難病の少年をiPS細胞を活用し助ける。海外で人と犬の手術中に日本にいるピノコの犬の手術を支持支援する。少年から母親に生体肝移植するも思わぬ結末に。BJ自身の怪我と母親を死に追いやった不発弾に関連する憎むべき男性の終末医療にはドクター・キリコと相対することになった。

過去を回想するシーンでは漫画かアニメで見たことのあるエピソードが織り込まれており、数十年前の記憶が蘇った。ワクワクしながら読んだのであっという間に読み終えてしまった。ただ文字(文章)なので、漫画やアニメのようには場面場面を想像できず、少し迫力を感じ取ることがムスカ叱ったのは残念だ。それでも、なかなか面白かった。


今回は、図書館の電子書籍サービスを初めて利用した。このサービスは2021年6月に始まったらしいのだが、気づいたのは約半年前だった。PC(Win/Mac)やタブレットのブラウザからアクセスして利用するのだが、字を大きくできたり画面の色を反転(白と黒)をできるので紙の本よりもかなり読みやすい。ただ、電子書籍リーダKindleのような辞書機能や読み終え予想時間の表示機能がないので、改良を期待したい。






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