上野日記

自分が主人公の小さな物語

塩田武士の『歪んだ波紋』を読んだ

塩田武士の『歪んだ波紋』を読んだ。2018年に講談社より刊行された連作短編集で、第40回吉川英治文学新人賞を受賞した社会派小説だ。新聞記者を主人公に誤報にまつわる「黒い依頼」、「共犯者」、「ゼロの影」、「Dの微笑」、「歪んだ波紋」の5編が収録されている。11月よりテレビドラマが始まるのを知り、図書館に予約しようやく読むことができた。

塩田武士氏の小説は6月に読んだ「グリコ・森永事件」をモチーフにした『罪の声』に続き2冊目だ。

以下の概要はAmazonより:

記者は一度は未知の扉を開けるものだ。「黒い依頼」――誤報と虚報 「共犯者」――誤報と時効 「ゼロの影」――誤報と沈黙 「Dの微笑」――誤報と娯楽 「歪んだ波紋」――誤報と権力 新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディア――情報のプリズムは、武器にもなり、人間を狂わす。そして、「革命」を企む、“わるいやつら”が、いる。『罪の声』の“社会派”塩田武士が挑む、5つのリアルフィクション誤報の後に、真実がある。
 「誤報」にまつわる5つの物語。新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディア―昭和が終わり、平成も終わる。気づけば私たちは、リアルもフェイクも混じった膨大な情報に囲まれていた。その混沌につけ込み、真実を歪ませて「革命」を企む“わるいやつら”が、この国で蠢いている。松本清張は「戦争」を背負って昭和を描いた。塩田武士は「情報」を背負い、平成と未来を描く。全日本人必読。背筋も凍る世界が見えてくる。

新聞やネット上の「誤報」、「虚報」、「捏造」、そして「フェイクニュース」を軸とした社会派小説。こんなのが実際にあったら何を信じたらいいのだろう、と少し怖くなった。なかなか面白かった。




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