上野日記

自分が主人公の小さな物語

塩田武士の『罪の声』を読んだ

塩田武士の『罪の声』を読んだ。2016年に講談社より刊行された長編サスペンス小説だ。2016年度週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、第7回山田風太郎賞を受賞しており、2020年には映画(小栗旬星野源)が公開される予定だ。映画の予告をテレビで観て、早速図書館に予約し、ようやく読むことができた。

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以下の概要はAmazonより:

京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった―。

1984年に発生した「グリコ・森永事件」をモチーフにし、事件から31年後を小説にしている。新聞で事件の特集記事を書くために文化部から事件担当部署へ応援に駆り出された記者と、父親の遺品を整理していた時に黒皮のノートとカセットテープを発見した男性の視点から物語が展開していく。記者は、小さな手掛かりから関係者を求め奔走する。ノートとテープを発見した男性は、叔父が事件関係者かもしれないと思い、父や叔父の知人を頼りに真相を探る。

犯人ばかりではなく、その家族までもが悲しい運命をたどったのには虚しさを覚えたが、最後には少しだけほっとさせられたかな。前半はあまり面白くなかったが、後半から引き込まれ食い入るように読ませてもらった。なかなか面白かった。

本書最後の著者の謝辞には、【本作品はフィクションですが、モデルにした「グリコ・森永事件」の発生日時、場所、犯人グループの脅迫・挑戦状の内容、その後の事件報道について、極力史実通りに再現しました】とある。「グリコ・森永事件」が発生したころは社会人1年目で仕事がきつかったのしか覚えておらず、事件の内容はテレビで観ていたかもしれないがほとんど記憶がなかった。昭和かぁ…、何もかも皆懐かしい。



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