上野日記

自分が主人公の小さな物語

伊坂幸太郎の『終末のフール』を読んだ

伊坂幸太郎の『終末のフール』を読んだ。2006年に集英社から刊行された、連作短編集だ。「終末のフール」「太陽のシール」「籠城のビール」「冬眠のガール」「鋼鉄のウール」「天体のヨール」「演劇のオール」「深海のポール」の9編が収録されている。“ヨール”ってなんだろうと思ったら「夜」だったw。

8年後に小惑星が地球に衝突すると発表されてからの5年後の仙台北部マンションの住人たちの人間模様が描かれている。5年が経ち、暴動やパニック、自暴自棄になったりした人々はいなくなり、とりあえずの小康状態を保ち、平和を取り戻している。
父親を許せない娘と母。ようやく授かった子を産むかどうか悩む夫。妹の自殺の原因を作ったテレビMCへ復讐する兄弟。父親の3千冊の本を読んで悟った娘。生き方を教えてくれたキックボクサー。小惑星は衝突しないと言った大学時代の同級生。近所の住民を相手に演技を続ける女性。みんなが溺れるのを最後に見届けると屋上に櫓を立てる父親とそれを見守る息子。
「生きる」ってなんだろう。それを考えさせてくれる。

明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?
あなたの生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?

なんか考えさせられる小説だった。

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