「京コンピュータ・シンポジウム2013」に行ってきた。
- 日時:2013年5月13日(月) 10:00〜17:30
- 会場:東京・イイノカンファレンスセンター (4階 Room A)
- 主催:理化学研究所 計算科学研究機構、高度情報科学技術研究機構
- 後援:文部科学省、理化学研究所 HPCI計算生命科学推進プログラム、計算物質科学イニシアティブ(東京大学物性研究所、分子科学研究所、東北大学金属材料研究所)、海洋研究開発機構、東京大学生産技術研究所、日本原子力研究開発機構、宇宙航空研究開発機構、計算基礎科学連携拠点(筑波大学計算科学研究センター、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台)
「IT勉強会カレンダー」を見ていてこのイベントを見つけ、面白そうだったので申し込んでみた。「京コンピュータ」がいろんな分野で利用されていることを知れたのは有意義だった。
「京」の魅力
2012年9月に本格稼働。1日100件のジョブを処理し、フル稼働している。トップ500で2回世界1になった。
京はすべて日本製。我が国の科学技術を世界に見せることができた。
2011年HPCチャレンジ賞4部門すべてで1位を独占した。
世界がその性能にあっと驚いた!
日本の計算科学者は大規模計算に飢えていた。
「京」以前には見渡すことができなかった眺望を「京」は与えてくれた。
思っていた以上に「京」は役に立つことに多くの人が気づいた→ジョブ投入ラッシュ
科学的卓越性と社会的インパクトある成果を上げるには、もっと戦略的に利用すべきか。
「京」が産学連携を加速:自動車用次世代空力・熱設計システムの研究開発コンソーシアム。「京」インシリコ創薬のコンソーシアム
「京」が国際連携を推進:研究協力協定などに基づく研究協力、研究者交流等。国際会議、シンポジウムの開催。その他…。
長期的視点でスパコン開発戦略を。
シミュレーションが未来をひらく
「京」を中核としたHPCIの現状と今後のスパコン開発・利用のあり方について
目次
1. スーパーコンピュータについて
2. 国際的な状況について
3. 我が国における現在の取り組み
4. 将来のスーパーコンピュータの開発に向けて
最先端の科学技術にはスパコンによるシミュレーションが不可欠
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)への期待
計算科学(HPC)の課題と期待(まとめ)
大事なのはシミュレーションと思考をつなぐこと
【課題】
- 課題に対する解くべき計算問題の設定
- 解析品質がわかる人材育成
- 複雑現象データの理解と解釈
- モデリング技術の限界、計算機性能限界
- 人と計算機の乖離 ・解析品質(手法の特徴・欠点、精度、限界、境界)
- プリ・ポストの重要性(理解する力)
【期待】
質疑応答
京の威力で「見えない宇宙」の正体に迫る -ダークマターの超大規模シミュレーション-
概要
- 宇宙の始まり、はて、終わりはどうなってるのか?
- 何がまだわかっていないのか?
- シミュレーションでわかることは?
- 「京」でどんな計算をしようとしているか?
- さらにその先は?
まとめ
- 我々は、「京」を使って大規模シミュレーションで、銀河系の中のダークマター粒子の分布、どのように観測されるかを予言することを目指している
- このため、「京」の全能力を発揮できる、非常に高性能な計算コードを開発した
- その結果、演算性能では「京」の2倍あるBG/Q での米国のグループの計算の2.4 倍の性能を実現し、2012年ゴードンベル賞も獲得できた
- 日本はソフトウェアが弱い、と言われるがそうでもないところもある
- 「京」でのサイエンス、このソフトウェア技術の他の分野への応用にも期待して欲しい
説明がへたで何をしゃべっているのか聞きとりづらかった。もうちょっとゆっくり、論理的に順序立てて語尾を明瞭にしゃべればいいのに…。
質疑応答
- 一般参加:ダークマターを計算するときの条件の違いを教えてほしい。→(聞き取れなかった)
- 一般参加:「京」を使ったメリットは?→性能が高いので量が大きい計算ができる。
- 一般参加:米国が無駄な計算をしている。チューニングすると負けるのでは。どうするのか?→米国のチューニングが遅れているのは事実。自分たちができることをやる。
- 自民桜井氏:シミュレーションの初期設定などはどうなっているのか。発見されていないものなので分からないのではないか?→ある程度予言されている。
- 自民桜井氏:本当にやりたいことをやるにはどれくらいの能力が必要か?→今の「10の12乗」くらいのコンピュータがあれば求めているシミュレーションができる。(場内爆笑)
生きた心臓を京に再現
シミュレーションの意義:1.見えないものを見る(原子の動き、ブラックホールの中、…)。2.不可能な実験を行う(巨大建造物、気候変動、…)
→限りなく本物に近い臓器モデルをコンピュータ内に作る。
質疑応答:質問内容とその回答が理解できなかった…orz。
スパコン「京」が拓く医薬品開発の未来 -速い安い旨い薬づくり-
「京」による創薬イノベーション:「京」を利用することで、より速く、より正確に、医薬品を予測することが可能になり、 医薬品開発の成功確率が大幅にアップし、数百億円の開発費削減が実現される→開発費の削減は、製薬産業の景気アップをもたらすだけでなく、医療費の根本削減や、難病などの患者数が少ない希少疾患の医薬品開発を可能にする
質疑応答:これも理解できなかった。
新物質から新エネルギーへ
原子配列を見るもう一つの手段:物理の基本原理に基づく計算機シミュレーション
「京」/「ポスト京」によるこれからの計算物質科学:計算機シミュレーションによる新物性の機構解明と定量的な物性予測、物質設計
→新物質・新材料の知財早期確保
→開発期間短縮
試作実験、評価する計測との連携が鍵(元素戦略プロジェクトで実践)
質疑応答:理解できなかった。
自動車や船の周りの流れ解析: 京を利用した最新成果
内容
1.京に対する産業界の期待
2.水や空気の流れと機械の性能
3.京で初めて実現できる流れの数値計算
4.幾つかの具体的な事例
質疑応答
- 渦は小さくなったが今後はどうするのか。→さらに小さくはしない。それを設計に反映させて実用化させる。速くなると渦も小さくなる(飛行機とかジェット機)はポスト京で可能になる。車の衝突実験では車体だけでなく、人への影響もシミュレートできるようになる。
- 一般参加:燃焼とかもやっているのか。→やっている。
京を利用した大規模分子シミュレーションによるタイヤ材料開発
内容
1.自動車・タイヤを取り巻く社会動向とタイヤに求められる性能
2.タイヤ開発のためのシミュレーション技術活用の歴史
3.タイヤ材料シミュレーション
4.京スパコンを用いた大規模分子シミュレーション
今後のタイヤ開発における3つの方向性:低燃費性、安全性(グリップ)、省資源(ゴム強度)←これらの追及・実現は背反関係にある→三律背反するタイヤ性能を全て向上させる。
SPring-8での測定から大きなモデルサイズが必要なことが分かった→社内の計算モデルサイズの数百倍〜数千倍となり、シミュレーション実行には「京」が必要(社内では実施不可)。
まだ「京」は使用していないが、今後「京」を利用したシミュレーションを行う予定らしい。
質疑応答
閉会挨拶
参加していただいたみなさんに感謝する。「京」の性能をめいっぱい使っていることがわかった。産業と連携していることがわかった。「ポスト京」に向けての計算科学分野の今後のご支援をお願いする。
【おまけ】
クリアファイルは受付で配られたものでなかなか恰好いい。左は「手拭い」でアンケートに答えると貰えた。