上野日記

自分が主人公の小さな物語

本多孝好の『WILL』を読んだ

本多孝好の『WILL』を読んだ。2009年に集英社より刊行された連作短編集で、先日読んだ『MOMENT』の7年後が描かれている。朝日新聞の広告をみていつか読みたいと思っていた本だ。

『MOMENT』では大学生で病院の清掃のアルバイトそしている青年が主人公だった。今回の主人公は、青年の幼なじみ(高校まで同じ)で彼に清掃のアルバイトを紹介した女性が主人公だった。『MOMENT』でもちょくちょく描かれていて二人の関係はどうなるのか気になる終わり方だった。
高校卒業間際に両親を事故で失い、そのまま家業の葬儀店を継いだ。最初の仕事が両親の葬儀だった。そんな葬儀店を舞台に彼女に持ち込まれた相談事を解決する話だ。ちょっとミステリー小説のような謎解きの要素があり、ヒューマンドラマのような温かみもあり、短編といっても話が全体を通した構成になっているのも面白かった。そして二人の関係は…。

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