上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『時生』を読んだ

東野圭吾の『時生』を読んだ。2002年に講談社より『トキオ』の題で刊行され、2005年に講談社文庫より刊行される際に『時生』に改題された、長編SFファンタジー小説だ。2004年には櫻井翔国分太一富田靖子出演によるテレビドラマが放送されたらしい。

自分の息子が不治の病で余命幾ばくもない。そんな昏睡状態の息子の寝姿を見つめ、主人公は20数年前に出会った少年(トキオ)の思い出話を妻に語り始めた。その少年こそ未来から来た自分の息子だった。仕事は長続きせず、恋人から金を借りて、その日を過ごすどうしようもない主人公は、突然姿を消した恋人をトキオと一緒に探すことになる。
大人になり切れていない自分の父親を見て「あの人の若気の至りを見るのは辛い」と嘆き、一生懸命に主人公を説得する。主人公の出生の秘密、実母との対面、実父の素性、そして恋人の失踪の秘密が明らかになる。あれほど憎んでいた実母、死の間際「産んでくれてありがとう」と礼を言えるまでになっていた。
未来から自分の息子が来るというファンタジーだが、色々な要素が絡み合い、なかなか面白かった。

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