「ユーザのための仮想化フォーラム2010 Summer 〜プライベート/ハイブリッド・クラウドへの進展〜」に行ってきた。
- 日時:2010年8月3日(火)10:00〜17:20
- 会場:青山ダイヤモンドホール
- 主催:ITpro
- 協力:日経コンピュータ、日経SYSTEMS
- 協賛:デル、EMCジャパン、日立製作所、アイシロン・システムズ、日本IBM、日本オラクル、ノベル、シマンテック
撮影禁止のため、写真はこれだけだ。
またまた、クラウド関連のセミナーに行ってきた。主催者側も今流行りの「クラウド」に乗らない手はないということだろうし、雨後の筍のようにクラウド事業に乗り出す企業も増えている。過去に出席したセミナーと内容は似たりよったりだが、製品の興味深い機能を知るのもまた面白い。
〜真の仮想化でインフラ構造改革を実現〜 プライベートクラウド構築の勘所
自社またはグループ会社で構築したプライベートクラウドのノウハウを活用して、それを事業にしているらしい。
- システム運用での最大の課題は
- 特定ベンダにインフラを全面的に依存
- 各種インフラ機器や管理ツールの氾濫
- 過度に余裕を確保した機器構成(ムダ)
→硬直化し変化に追従できないインフラの氾濫が運用コスト削減を阻害
- インフラ統合の基本的な考え方:インフラとアプリを分離し、インフラのリソース・プール化。全体最適化を行い、TCO削減を実現。→グループ向けプライベートクラウドの構築
- 標準サーバに求めるもの→いかに運用を楽にするか?
- 障害が一番多い→障害を少なくするようにする。簡単に専門家がいなくても復旧できるか。
数社の製品を実機での検証を自ら実施し、1社(Egenera社)が適合した。
- 統合サーバ機器検討の結果
- 障害の現象:ディスク・スイッチ・ケーブルの排除で障害現象(1/5〜1/8に減少)
- 障害時対応:数分で待機系サーバに自動切り替え。業務への影響極小
- 柔軟な構成:既存サーバをコピーする感覚でサーバ立ち上げ。変更も極めて容易。
- 管理容易性:PAN Managerにより、物理/仮想もGUIで容易に管理。新人社員も戦力に。
Egenera社の専用サーバだけでなく、DELLの汎用サーバで、より広く、より柔軟に対応することができようになったそうだ。
- インフラ構築 成功のポイント
- インフラだけ統合しても……:アプリケーション開発基盤と標準化が重要
- サーバの仮想化はごく一部:データセンターサービス全体の仮想化を考える
- 運用担当者に平和な日常生活を:運用重視のインフラ最適化がコスト削減の鍵
- ベンダの動作保証って意味あるの?:オープン技術を使いこなす上での心構え
- 「出来る」と「うまく使える」は雲泥の差:Simple is Best 壊れにくさ、対処しやすさ
- 「余裕が十分あるから安心」って、なんか変?:無駄の排除はリソースの徹底有効活用から
検証作業も自ら実施しノウハウを蓄積しているようだ。
オラクルが提供するクラウド・コンピューティング・インフラストラクチャ
- オラクルの3つの立場
- SaaSプロバイダ
- Public Cloudプロバイダ
- Private Cloud構築に対する製品提供
- クラウド企業はどうしているのか
(資料がなく、書き取りが追いつかなかった)
プライベートクラウド構築に最適なサーバ仮想化を支える新技術
論理パーティショニング(LPAR:Logical PARtitioning) Virtage(バーテージ)の説明。CPU、メモリ、I/O、を論理的な単に「分割」し、メインフレームと同じ考え方らしい。ゲストOSからは物理ハードウェアに直接アクセスさせるため、信頼性で有利と。仮想マシン(VMware、Hyper-V、KVMなど)は、仮想的に汎用性のあるハードウェアを「生成」し、接続されている物理ハードウェアの制約を受けにくく柔軟性に優れていると。
クラウドにおいても、重視するポイントにより製品・技術の選択が必要で、コア業務、プライベートクラウド向けにはLPARが最適らしい。
- プライベートクラウド向け最新プラットフォーム技術
- 性能安定化技術
- 共有CPUのグルーピング
- 可用性向上技術
- 部分障害の隔離
- システム柔軟性向上技術
- 柔軟なI/O構成・拡張プラットフォーム
- 仮想サーバ運用管理技術
- 仮想サーバの障害対応
- リソースプール管理
- 性能安定化技術
見えてきた、次世代「仮想化インフラ」
- インフラの方向性
クラウドとは何か。コンピュータリソースをサービスとして提供する事を広義の意味でいう。ユーザはリソースのありかを意識しない。
仮想化:サーバやストレージ、ネットワークといったコンピュータ資源を抽象化→自動化→自律化
- コアとノンコアを見極める
オムロン。M/Fから新システムに移行するとき、コモン、モジュール、オプションに分けて構築した。コモンは業界共通のアプリ、モジュールはオムロン固有の機能。
サーバー仮想化、そしてクラウド時代のバックアップ
クラウド環境でも、サーバやネットワークの負荷をかけずにバックアップできるというNetBackup 7の話。バックアップ時の「重複排除」は興味深かった。
知らないと損! クラウドへの展開を見据えた仮想化運用管理のコツ
PlateSpin Forgeというサーババックアップ製品の話。箱から出して「IPアドレス・パスワードの設定」「バックアップ対象サーバの選択、同期時間設定」だけですぐにバックアップできるのは興味深かった。しかも、バックアップ対象サーバのサーバイメージをそのまま持ってきているので、サーバがダウンしてもPlateSpin Forge内でそのシステムを起動することができるというホットスタンバイにも使用できるのには驚いた。
さらに、バックアップした内容を元のサーバとは異なるスペックのマシンにリストアできるらしい。各種ドライバを保持しているかららしい。もちろん、クラウド環境にもリストアできる。Windows系以外にもRedhat(RHEL 4,5)やSUSE Enterprise Linux 10,11にも対応しているらしい。
こういう製品があるとは知らなかった。なかなか面白い。
実践プライベート・クラウド
いろいろなクラウド構築実績で「プライベートクラウドに向くエリア」と「パブリッククラウド化しやすいエリア」が分かってきたそうだ。「機密データを扱うアプリケーション」や「法規制の厳しいアプリケーション」等はプライベートクラウドへ、「開発・テスト」「ストレージインフラ」「ビジネス・プロセス」等はパブリッククラウドかしやすいそうだ。クラウド適合度簡易分析では業務面やITインフラ面から分析を行い、短期間でクラウドの適用度を判定するらしい。
そして、プライベートクラウド製品として「IBM Systems Director VMControl」「IBM CloudBurst」等の説明があった。
仮想化の壁(を打ち破れ)
- サーバ集約:仮装マシンは独立性を持つ。1台のサーバに複数の仮装マシンを実行可能
- HW(ハードウェア)、SW(ソフトウェア)を分離できる:従来HWとSWは密接にひも付いていた。HW/SW分離は仮想化の大目的
- 調達〜配備〜撤廃が簡単:仮装マシンはファイルで構成。作成、コピー、移行、削除は容易
- 仮想化の今:仮想化サーバ出荷台数増加。仮想化比率増加
- 小規模から大規模へ:1台のサーバで統合できるサーバ台数、昔は4台、今は30台。
- 開発環境:仮想化の入り口として最適。開発機の生成〜廃棄簡略化のメリット。本番環境の仮想化で配備トラブル削減
- 本番環境:安価で多彩な高可用性。老後システムを延命。サーバの家賃、電気を削減。システム使用率改善
- デスクトップ環境:セキュリティ向上。可用性・拡張成功上、利用者の利便性向上
- クラウドサービス:世界と社内のリソース間をシームレスに。サーバ仮想化の先に見えるもの。
- 導入している?:多くの企業は、部分的導入済み。
- 仮想化のメリット:サーバ集約:電気代、場所代。HW/SW分離。調達・配備・撤廃と、経営者サイドには、大きなメリットがある。
<仮想化の壁>
- イニシャルコストが高い:快適な仮想環境
- 仮想環境の見積もり:仮想化アセスメント
- システムを統合するには、リソース共有が必要
- リソースが不足する自体は絶対許さない
- リソースを大幅に多く見積もる過剰スペック
- 壁を破ろう!その1:スモールスタートは可能。投資コストの回収プランをみておく必要がある。
- 必要な用件を明確に冷静に:高機能ツール群は本当に必要か?後からでも追加できないか?スケールアウトもスケールアップもできる。ベースのリソース最適化ツール群の理解を。日々のチューニングを運用化。
- オペレーションコスト低減:インフラ管理 42%→30%
・On-GOingでリソース配分チューニングを:リソース不足だけでなく過剰リソース割り当てを検出することも重要。VMwareCapacityIQというツールがある。
<仮想化の壁その2 現場望んでいない?>
- 信用が足りない
- 実績は十分にあるのか
- サポート体制の不備
- よくない噂が先行する
- 仮想化自体、信用できない
- 運用の変化
- 運用責任の線引きが難しい
- 仮想化の面倒は誰がみるのか
- 問題が起きるとまず疑われる仮想化
- 変化するのは嫌だ
- 運用体制は、今まで通りがよい
- よくわからない仕組みは運用できない
- 蓄積したノウハウが使えない
- 変化最小化の仕組み:サーバ仮想化の意義。なぜ、仮装マシンなのか。→IaaSの場合、従来型のシステムに近い。IaaSでは、変化を抑えることができる。
- ソリューションを活用:変化を低減するソリューション。例:CiscoNexso1000v(ネクサス)。仮装ネットワークだが、従来通りの管理方法で管理できる。
- 技術者を増やそう:安定した運用、効果的な投資のために。VMware認定技術者の現状:日本=VCP3は約2000人、VCP4は約1000人。世界=VCP3が38,000人、VCP4が24,000人。
- 利便性を実感すること:新しい仕組みを押しつけるのでなく、利便性を実感してもらって、利用したくなる仕組みが必要。利用までの手数が多かったが、仮装になると手数が少ない。現場が楽になると説明する。
<仮想化の壁その3>
- サイロ型仮想環境が多い:担当ごとに構築、プロジェクトごとに構築。
- 利用するまでの申請が面倒!:多くの申請を経て利用に至る。利用方法は、分厚いマニュアルに。メディアを利用したいだけなのに。
- リソースは独占したい:リソース共有する事で、他のプロジェクトにリソースを奪い合われるのでは?セキュリティは大丈夫なの?
- 買った方がやすい!:コオモディティ化されたサーバは価格も安く性能も向上している。プロジェクトごとに購入したほうがわかりやすいし、購買費用の申請がしやすい。→電気コストや、借地コスト、廃棄時のムダまで計算していますか?
- 壁を破ろう!その3:仮想化メリットを裁断化するにはスケールメリットを重要視するサイロ型→全社統合型
- 利用方法を容易に:社内クラウドとして裏側を意識させない。オンデマンドで提供。ブラウザベースのインターフェース。
- 利用状況を明らかに:リソース共有に対する疑惑は詳細レポートで解消する。利用中の資源を可視化する。
- 課金制度を明確に:部門ごとに利用状況に合わせた納得感のある課金制度をルール化する。VMwareChageback
<まとめ;仮想化の壁を破るために>
ある程度はトップダウン型で進行しよう。利用現場との一体感を持とう。感情にも配慮しよう。自動化を最大限活用しよう。運用まで意識した提案ができるSIerが必要。
【その他】
アンケートに答えたら色々とおみあげをもらった。symantec(左上)は印刷物等の個人情報を見えないようにするスタンプ、日立(左のBladeSymphony)は付箋紙だ。ORACLE(中と右)は、折り畳み傘と保温性のあるマグカップ。折り畳み傘はNRIのセミナーでも貰ったので、自分のと併せてこれで5本になってしまった……orz。