上野日記

自分が主人公の小さな物語

島本理生の『ファーストラヴ』を読んだ

島本理生の『ファーストラヴ』を読んだ。2018年に文藝春秋より刊行され、第159回直木三十五賞を受賞した長編ミステリー小説だ。2月に真木よう子主演でドラマが放送されたので読んでみようと思った。2021年には北川景子主演で映画が公開される予定だ。

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以下の概要はAmazonより:

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
 臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。

父親を包丁で殺害した女子大生。警察に捕まり「(父親を殺害した理由は自分でもわからないので)動機はそちらで見つけてください」という報道がされた。事件を題材とした執筆を依頼された臨床心理士が彼女の隠された闇を探る。

それぞれの登場人物の証言に小さな食い違いがあり謎が謎を呼ぶ。女子大生の周囲(両親とか)や、臨床心理士の家族関係や過去の恋愛関係も微妙(絶妙に)に小さな秘密や心の闇が絡んでいて、なかなか面白かった。さすが直木賞だ。


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