上野日記

自分が主人公の小さな物語

長岡弘樹の『赤い刻印』を読んだ

長岡弘樹の『赤い刻印』を読んだ。2016年5月に双葉社より刊行された短編ミステリー小説だ。6月に読んだ『傍聞き』の母娘が登場すると新聞広告で読み図書館に予約した。「赤い刻印」、「秘薬」、「サンクスレター」、「手に手を」の4編が収録されている。

以下の概要はAmazonより:

著者を短編ミステリーの名手として知らしめた大ヒット作『傍聞き』。その表題作の主人公、シングルマザー刑事と娘が再び登場! 長年、刑事の母親の元に届く差出人不明の御守りが導いた、ある真実とは?(「赤い刻印」)長岡ミステリー史上、最も巧緻な伏線と仕掛け。そして、最も深い人生の哀歓――。出色の完成度を誇る短編集。
 刑事である母に毎年届く、差出人不明の御守り―。秘められた想いが、封印された過去を引き寄せる。「巧緻な伏線」と「人生の哀歓」が、鮮やかにクロスする瞬間!

赤い刻印:刑事の母親とその娘。そして生き別れになった実の母親(娘にとっては祖母)との出会い。毎年届く謎のお守り、娘のアルバムと母親のアルバムには赤ん坊の手形と足形そして母親の拇印が押されていた。そこから5年前に起きた殺人事件が結びつくなんて、いくら何でもねぇ…。

秘薬脳出血が原因で記憶が一日しか持たない女子医学生。主治医でもあり担当教授から毎日日記を事細かく書くように指示をされる。その日記を紐解き、彼女が取ろうとしている行動を阻止しようと教授は画策する。

サンクスレター:小学校で自殺した少年の父親が、学校は本当のことを伝えていないと児童を人質に教師に立てこもる。そこで起きた奇蹟と真実…。

手に手を:介護が必要な母親、人の手がないと何もできない知的障害の弟。いっそのこと二人を殺して自分も楽になろうかと考える。頼りになるのは同級生で母親の往診にやってくる町医者だった。意思疎通ができない弟が取った奇蹟とは…。

すべてそんな馬鹿なと思うような内容だけど、面白い。

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