上野日記

自分が主人公の小さな物語

住野よるの『また、同じ夢を見ていた』を読んだ

住野よるの『また、同じ夢を見ていた』を読んだ。2016年に双葉社より刊行された長編小説だ。『君の膵臓をたべたい』に続く二作目だ。

以下の概要はAmazonより:

きっと誰にでも「やり直したい」ことがある。学校に友達がいない“私”が出会ったのは手首に傷がある“南さん”とても格好いい“アバズレさん”一人暮らしの“おばあちゃん”そして、尻尾の短い“彼女”だった―

『君の膵臓をたべたい』がなかなかよかったのでこれも読んでみた。主人公が小学生の女の子で、その子の語り口調で書かれているので、文章自体が子供っぽい感じで綴られている。

学校には友達がおらず、偶然に出会ったリストカットを繰り返す女子高生、アバズレと呼ばれる若い女性、お菓子作りの上手な一人暮らしの老婆、そして一匹の野良猫が友達で話し相手だった。「人生とは?」、「幸せとは?」。あの時の自分の行動や躊躇したことを後悔し、もう一度人生をやり直したいという強い思いからなのか、何度も同じ夢を見てしまう。死にたいと思ったことは何度もあったのだろう。荒んだ生活からも脱したかったのかもしれない。老婆の「幸せな人生だった」という言葉には何か救われたような気がした。

最後は「薔薇の下で」…か。続きが気になるが、きっと平凡な幸せな人生だったのかもしれない。



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