上野日記

自分が主人公の小さな物語

住野よるの『君の膵臓をたべたい』を読んだ

住野よるの『君の膵臓をたべたい』を読んだ。2015年に双葉社より刊行され、本屋大賞2016で2位を獲得した青春小説だ。

以下の概要はAmazonより:

ある日、高校生の僕は病院で1冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていた。こうして、偶然にも【ただのクラスメイト】から【秘密を知るクラスメイト】となった僕。まるで自分とは正反対の彼女に、僕は徐々にひかれていった。だが、世界は病を患った彼女にさえ、平等に残酷な現実をつきつける――。全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!

友達もおらず根暗な高校生の「僕」はふとしたきっかけでクラスメイトの少女が膵臓癌で余命1年ということを知る。彼女は明るく友達もたくさんいて「僕」とは正反対の存在だった。他人と交わることを極力避けて生きてきた「僕」に彼女は食事や旅行に誘い、次第に彼女に惹かれていく。

確かに青春っぽいが、何となくあり得ないシチュエーションの違和感を覚えつつも読み進める。病院のベッドで亡くなる彼女に彼はどんな言葉を投げかけるのだろうかと先読みしながら読み進めると、びっくり仰天…。えっそれはないよぉ〜。いやぁ、驚いた。

二人の出会いは、偶然でもなく、運命でもない。それぞれの選択が二人を会せ、自分たちを出会わせたと説く彼女。生きるというのは誰かと心を通わせること、そのものを指して呼ぶんだと「僕」は気づく。身につまされる思いがした。

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