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上野日記

自分が主人公の小さな物語

乾緑郎の『完全なる首長竜の日』を読んだ

乾緑郎の『完全なる首長竜の日』を読んだ。2011年に宝島社より刊行されたSF・ミステリー小説で、第9回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した。2013年には佐藤健綾瀬はるか主演の映画が公開された。先日放送された映画を観る前に概要を調べたら原作があることを知り図書館でこの本を借りてきた。そういえば映画公開時に原作を読もうとしたがあまりにも予約数が多くて借りるのを諦めたのを思い出した。

以下の概要はAmazonより:

植物状態になった患者と、コミュニケートするための医療器具「SCインターフェース」が開発された日本。少女漫画家の淳美は、自殺未遂を起こして数年間意識不明に陥っている弟の浩市と対話を続けている。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いかけに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。そんなある日、謎の女性からかかってきた電話によって、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こりはじめる…。

自殺未遂で植物状態になった弟と最新医療技術でコンタクトを取ろうとする姉。…。んっ?数十ページ読み、ミステリーだったら結末は「逆」だよねと思いつつ読み続ける。姉が自殺未遂で弟が助ける。やっぱりそうか。あれっ違う。不可解な科白、不可解な思い出、不可解な現実と仮想空間。どっちがどっちなのか…。
うーむ、そう来たか。なるほどね。確かに「このミス大賞」を取るだけはある。なかなか面白かった。
で、録画していた映画を観た。姉と弟の立場が逆。しかも幼馴染の恋人同士になっている。ということは、原作の逆の逆だから…。えーっと、と頭を混乱させながら観る。二人の過去の記憶が次第に蘇るという設定は同じだが、原作とは全く異なり観ていて引き込まれていった。こちらもなかなか面白かった。
ただ、原作では両親のことやそれぞれの祖父母と大叔父や曾祖母のことなど、姉弟に繋がる家系のような歴史のような物語が織り込まれていて、作者のこの作品への思いが感じられた。

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