上野日記

自分が主人公の小さな物語

森沢明夫の『虹の岬の喫茶店』を読んだ

森沢明夫の『虹の岬の喫茶店』を読んだ。2011年に幻冬舎より刊行された連作短編集で、2014年に吉永小百合主演で『ふしぎな岬の物語』で映画が公開された。1月4日にその映画が放送されたので録画したが、年末年始はいろいろな番組を録画していたのでしばらくそのままにしていた。ようやく観る気になり、その前に概要を確認したところ原作があることを知り、慌てて図書館から借りてきた。

以下の概要はAmazonより:

トンネルを抜けたら、ガードレールの切れ目をすぐ左折。雑草の生える荒地を進むと、小さな岬の先端に、ふいに喫茶店が現れる。そこには、とびきりおいしいコーヒーとお客さんの人生にそっと寄り添うような音楽を選曲してくれるおばあさんがいた。彼女は一人で喫茶店を切り盛りしながら、ときおり窓から海を眺め、何かを待ち続けていた。その喫茶店に引き寄せられるように集まる人々―妻をなくしたばかりの夫と幼い娘、卒業後の進路に悩む男子大学生、やむにやまれぬ事情で喫茶店へ盗みに入った泥棒など―心に傷を抱えた彼らの人生は、その喫茶店とおばあさんとの出逢いで、変化し始める。心がやわらかさを取り戻す、感涙の長編小説。

「第一章 ≪春≫ アメイジング・グレイス」、「第二章 ≪夏≫ ガールズ・オン・ザ・ビーチ」、「第三章 ≪秋≫ ザ・プレイヤー」、「第四章 ≪冬≫ ラヴ・ミー・テンダー」、「第五章 ≪春≫ サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」、「第六章 ≪夏≫ 岬の風と波の音」の六編が収録されている。

鄙びた喫茶店にふと立ち寄った人々は何かしらの悩みを抱えていた。おいしいコーヒーと選曲された音楽でふと心が和らいでいく。若くして妻を亡くした男性とその娘、就職活動に悩む学生、諸事情で盗みに入った泥棒、店主の女性に思いを寄せながらも大阪への左遷を受け入れた男性、若い頃に喧嘩別れしたバンド仲間を思う男性、そして夫が残した絵の虹を待ち続ける店主の女性の話が綴られている。いずれも心温まりほっこりさせられた。
読みやすい文章でなかなか良かった。

そして映画を観た。「第38回モントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリとエキュメニカル審査員賞を受賞した」らしく期待したが、原作とかなり違っていて少々違和感を覚えてしまった。ちょっと残念…。

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