上野日記

自分が主人公の小さな物語

海堂尊の『イノセント・ゲリラの祝祭』を読んだ

海堂尊の『イノセント・ゲリラの祝祭』を読んだ。2008年に宝島社より刊行された長編小説で、「田口・白鳥シリーズ」の4作目となる。時系列としては『極北クレイマー』と同時期のようだ。

以下の概要はWikipediaより引用:

加納が事件発覚に一役買った、宗教団体「神々の楽園」の信者リンチ死事件が警察の初動捜査ミスの問題を含め、話題を集めていた頃、高階に厚労省の会議に出席することを頼まれた不定愁訴外来責任者の田口は、依頼主の白鳥直々の指名によって渋々会議に出席することになる。
 東京・霞ヶ関に向かった田口は「病院リスクマネジメント委員会標準化検討委員会」のモデル事業に関する会議、「医療関連死モデル事業」に出席する。だがその会議は、医療事故を調査するための独立した組織創設の検討を目的とした「医療事故調査委員会創設検討会」へと発展。今まで会議の主催者として舵取りをしてきた白鳥はその舵を取られる形になり、田口もその会議の参加者として連ねられる。
 この検討会自体も有耶無耶にしようとする官僚や、自分達の立場を死守せんとする教授達、そしてかつて医師や厚労省を揺るがす大きな問題を起こした彦根新吾も介入し、「医療事故調査委員会創設検討会」に波乱を呼び起こす。

異常死の解剖率の低さという社会問題を提起し、そこに画像診断を導入しようと画策する白鳥と医師の彦根新吾が厚生労働省の会議で大暴れする。
小説の中の話だけど、実際の警察および医療現場はどうなんだろうか…。今回の田口は白鳥と彦根に利用された(援助した)ような形となり活躍はあまりなかったが、白鳥が日本のそして医療の未来を真剣に考えていることが分かった。ちょっと意外だったけど。なかなか面白かった。

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