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上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『禁断の魔術 ガリレオ8』を読んだ

東野圭吾の『禁断の魔術 ガリレオ8』を読んだ。2012年に文藝春秋より刊行された連作短編の推理小説で、ガリレオシリーズの第8弾となる。「透視す(みとおす)」「曲球る(まがる)」「念波る(おくる)」「猛射つ(うつ)」の4編が収録されている。「曲球る」と「念波る」は、2013年にフジテレビで放送された。

透視す(みとおす):草薙に銀座のクラブに連れていかれた湯川はホステスの透視に驚くが簡単にそのトリックを言い当てる。しかしその答えは間違っていたことに気付いた。そのホステスが殺された。犯人はすぐに逮捕されたが、透視のトリックは謎のままだった。その種明かしを探る湯川はホステスの悲しい過去と彼女の継母の愛情を知ることになる。

曲球る(まがる)戦力外通告を受けたプロ野球選手(投手)の妻が駐車場で殺された。犯人はすぐに逮捕されるも、助手席に置かれた置時計のプレゼントが謎のままとなった。ひょんなことから草薙の紹介で湯川に彼にピッチングについて科学的見地から分析し、昔のフォームを取り戻せるか研究してもらうことになった。謎の置時計のプレゼントを知った湯川はプロ野球選手の妻が何をしようとしていたかを突き止めた。

念波る(おくる):遠く離れた双子の姉に何かあったのではないかと胸騒ぎを覚えた妹が姉に連絡を取ってもらうも死亡した状態で発見された。双子の間にテレパシーがあるのではないかと言われるが草薙達警察はそれを事件の解決として取り入れることはできなかった。湯川に相談すると断られると思ったが協力してくれた。ただしその実験には意外な理由があった。

猛射つ(うつ):湯川は高校の後輩にサークル「物理研究会」の新入生募集のデモンストレーションをお願いされその手ほどきをする。その青年は湯川に憧れ帝都大学を受験し見事合格した。湯川にあいさつに来たその青年はその日、たった一人の肉親である姉が死亡したことを警察から知らされた。それからその青年は大学を退学し、ある町工場に就職する。目的は姉の死がある人物に見殺しにされたことを知ったための復讐だった。高校時代に湯川から教わった実験装置はレールガンと言って殺傷能力を武器にもなるため、その考えにたどり着くのに時間はかからなかった。湯川は物理学が殺人に使われることに悲観し、自分の教え方が間違っていたのかと悩む。「使い方を間違えれば、禁断の魔術となる」と。そして、研究者生命をかけて青年の説得をする。

事件とは直接関係しない部分に焦点を置かれた作品だったように感じる。特に4作目の「猛射つ」は、いつも冷静な湯川が意外な行動に出たのには驚いた。なかなか面白かった。

© 2002-2017 Shuichi Ueno