上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『虚像の道化師 ガリレオ7』を読んだ

東野圭吾の『虚像の道化師 ガリレオ7』を読んだ。2012年に文藝春秋より刊行された連作短編の推理小説だ。表題の通りガリレオシリーズの第7弾だ。「幻惑す(まどわす)」「心聴る(きこえる)」「偽装う(よそおう)」「演技る(えんじる)」の4編が収録されている。2013年にテレビドラマの第2シリーズとしてフジテレビで放映された。

昨年のテレビ放送を観たので何となく記憶と映像がよみがえりながら楽しく読むことができた。
幻惑す(まどわす):「送念」で人の心を浄化するという宗教法人の教祖。その念により、宗教法人の第5部長が窓から転落する。

心聴る(きこえる):虫が飛ぶような耳鳴りに悩まされる。耳鳴りだけではなく幻聴に悩まされ、自殺する部長、病院で暴れる社員。

偽装う(よそおう):別荘で父は散弾銃で殺され、母は扼殺で死んでいたのを発見した女性。ロッキングチェアに座る死体の写真を見た湯川は偽装工作ではないかと疑う。

演技る(えんじる):劇団の主宰が自宅で殺害され、携帯電話を使いアリバイ工作を図る。警察は単純なアリバイトリックだと感づくが、なぜそのようにしたのか決め手が見つからない。


事件の裏側に悲しい人間模様が巧みに編み込まれている作品だった。

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