上野日記

自分が主人公の小さな物語

窪美澄の『晴天の迷いクジラ』を読んだ

窪美澄の『晴天の迷いクジラ』を読んだ。2012年に新潮社より刊行された連作短(長編?)編集だ。「ソラナックスルボックス」「表現型の可塑性」「ソーダアイスの夏休み」「迷いクジラのいる夕景」の4編が収録されている。2012年第3回山田風太郎賞を受賞したらしい。氏の小説はデビュー作の『ふがいない僕は空を見た』からの2作目だ。

兄は引きこもりで妹はぐれて15歳で子どもをつくりそんな生活を振り払うように東京に出てデザイナーになったが仕事がきつく彼女にもふられ鬱の薬が手放せない青年。絵の天才少女として持て囃され18歳で子どもを作るも子育てができず東京に出て30年色々な仕事を経てデザイン会社の社長になるも倒産の危機を避けられず自殺を考える女社長。母親からの執拗な干渉を次第に鬱陶しく思い友達の死をきっかけに引きこもりになり女子高生。そしてそれぞれが行き詰まり「死」への坂道を転がりかける。とある湾に迷い込んだクジラを見に行ったことがきっかけに何かをつかむ。


ふがいない僕は空を見た』で感動し、「感涙の物語」という謳い文句でで期待したがそれほどでもなかったけど、読んで良かった。



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