上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『麒麟の翼』を読んだ

東野圭吾の『麒麟の翼』を読んだ。2011年に講談社より刊行された加賀恭一郎シリーズ第9作の長編推理小説だ。2012年に阿部寛主演で映画が『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』として公開された。

日本橋麒麟の像にもたれかかり胸にナイフが刺さった男性が巡査に発見され、病院で死亡が確認される。被害者の財布やカバンを持っていた不審な男は逃走中にトラックにはねられ、昏睡状態がしばらく続いて死亡する。犯人死亡のまま事件は終わるかに思えたが、加賀は別の観点から足を使った捜査を続ける。そしてその真相は…。
父親と息子の関係、被害者とその息子そして恭一郎と父・隆正の関係。父親からのメッセージを息子はしっかりと受け止めたようだ。人形町とかも舞台にありテレビドラマで観た『新参者』(原作は未読)を何となく思い出した。
『赤い指』で登場した看護師の金森登紀子も登場し加賀に辛辣な意見を浴びせ、いい味を出していた。加賀と父との約束に対して「元気な頃に交わした約束など、何の意味もない」と一刀両断。「死を間近に迎えた時、人間は本当の心を取り戻します。プライドや意地といったものを捨て、自分の最後の願いと向き合うんです。彼等が発するメッセージを受け止めるのは生きている者の義務です。加賀さん、あなたはその義務を放棄しました」と。

読了後、今年1月3日にTBSで放送された映画版をようやく観ることができた。冒頭の中井貴一が刺されて日本橋まで歩くシーンには泣けてしまった。

【10/2追記】
昨日(10/1)、大学の友達が愛媛から出張で上京したので浅草で飲むことにした。そのついでに麒麟像を見に、東京駅から浅草まで歩いてみた。その時撮った写真を以下にリンクさせた。

麒麟の翼と浅草

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