上野日記

自分が主人公の小さな物語

有川浩の『フリーター、家を買う。』を読んだ

有川浩の『フリーター、家を買う。』を読んだ。2009年に幻冬舎より刊行された長編小説で、2010年には二宮和也主演でテレビドラマが放送された。

テレビドラマが放送されたのは覚えているが、どうしても観る気がしなかった。というのも、題名からしてわらしべ長者みたいな話でギャグドラマなのかなと勝手に思ってしまったからだ。有川浩の小説を最初に読んだのは昨年の『阪急電車』が最初だったので、それと知っていたら観ていたかもしれない。ちょっと残念。
大学を卒業し就職したものの3カ月で辞めた青年が主人公。再就職もできずダラダラとフリーターを続ける。母親はかばってくれるものの父親とは口論が続く日々。母親の変化を教えてくれたのは嫁いだ姉からだった。この一家は20年前から近所から村八分にされていたのを母親が一生懸命にかばってきたが、それも限界に来ていてとうとううつ病になってしまった。そのことにまったく気づかなかった青年は一念発起しアルバイトと就活に精を出し、自ら成長していく物語だ。
図書館でたまたま手にとり最初を読んでイメージとかなり違っていることに驚いた。有川浩自身の経験も含まれているらしいが、私自身も身につまされる内容であり、読んで良かった。

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