上野日記

自分が主人公の小さな物語

宮部みゆきの『火車』を読んだ

宮部みゆきの『火車』を読んだ。1992年に双葉社より刊行され、1993年に第6回山本周五郎賞を受賞した長編ミステリー小説だ。「このミステリーがすごい!」ベスト・オブ・ベスト第1位も受賞している。テレビドラマが1994年(三田村邦彦財前直見森口瑤子角野卓造)と2011年11月5日(上川隆也佐々木希田畑智子寺脇康文)が放送された。

職務中に負傷した傷の療養のため休職している刑事の元に親戚の青年が突然失踪した婚約者を探してほしいと依頼してきた。刑事だが休職中のため警察手帳も使えず、なんとか失踪した婚約者の足取りをたどると、まったく別の人物にたどり着いた。婚約者はまったくの別人になりすましていた。
小説の背景には住宅ローンなどにより借金地獄、そして若者に広まっていたカードローンによる借金地獄があった。親の借金から逃れる娘、自己破産した女性の接点は意外なところにあった。
ま、小説とはいえよくも小さな痕跡からここまでたどり着いたと感心するとともに、宮部みゆきのそのすごさに驚いてしまった。参りました。

【追記(8/18)】2011/11/5に録画したテレビドラマをようやく観ることができた。2時間ドラマなので多少は省いてあるが、大筋は原作どおりかな。

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