上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『天使の耳』を読んだ

東野圭吾の『天使の耳』を読んだ。1991年に『交通警察の夜』という題名で実業之日本社より刊行され、1995年に改題されて講談社文庫より発売された連作短編ミステリーだ。「天使の耳」「分離帯」「危険な若葉」「通りゃんせ」「捨てないで」「鏡の中で」の6編が収録されている。

各短編のあらすじはWikipediaより引用。“てにをは”がおかしいのでちょっと修正した。

天使の耳:「深夜の交差点で車同士の衝突事故が発生し、一方の運転手は信号が青だったと証言、もう一方の運転手は死亡した。果たしてどちらの車が信号無視をしていたのだろうか。その時、死亡した運転手の後ろの座席に乗っていた盲目の妹が兄は事故の被害者であると主張し始める」。いくら記憶力がよくて、それが特殊能力だったとしても、事故が発生した時の「基準時刻」が妹にはわからないので無理があるんじゃないの…。

分離帯:「深夜、車を走らせていた男は前方のトラックが分離帯を越えてしまうという事故を目撃した。その直後に彼は、路上駐車していた黒い車が発進したのを目撃していた」。死んだトラックの運転手の妻の執念は認めるが、それを警察は黙認するのか…。

危険な若葉:「男は初心者の車をあおり、事故を起こさせてしまう。慌てて車を降りると、相手の運転手には息があり、彼に何か言ったようであったのだが」。うーん、その仕返しが「倍返し」どころじゃないところが怖い。

通りゃんせ:「男は雪の日に車を路上駐車していた。その車に傷を付けられ憤った。が、その後、傷をつけた者から電話が。車の修理代を全額払うと言われた上に電話の男はさらに」。たかが駐車違反、されど無断駐車違反。それで人の命が救えたかどうかでは、被害者と加害者では重みが違う。その重みを思い知らされる。

捨てないで:「高速道で、高級車から投げ捨てられた空き缶が婚約者の目にぶつかり、彼女は失明してしまった。彼は空き缶だけを頼りに彼女の失明の原因をつくった車を探し始める」。それだけじゃあ警察が動いてくれないのは悲しい…。でも、思いもよらない末になるとは…。

鏡の中で:「深夜の交差点で奇妙な事故が発生した。右折しようとした車が反対車線に入り、停止中のバイクと衝突した。現場の証拠も、運転手の証言も不自然だった」。なんだ。右折して反対車線に入る、というのがわかりづらかった。なるほどね。そういうことか。私も米国ボストンで2年くらい運転していて一時帰国し助手席に乗ったとき、左折した車が左車線に進入してビックリしたことがある。というのを思い出した。

交通事故を管轄する交通警察官が経験するミステリー6篇。最後の最後になってのどんでん返しには驚いた。短編集にしてはなかなか面白かった。

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