上野日記

自分が主人公の小さな物語

綿矢りさの『しょうがの味は熱い』を読んだ

綿矢りさの『しょうがの味は熱い』を読んだ。2012年に文藝春秋より刊行された小説で、「しょうがの味は熱い」「自然に、とてもスムーズに」の連作が収録されている。

「美人芥川賞作家」というだけで、デビュー作から読み続けている。前回ももう読まないだろうと思いつつも、ついつい読みたくなってしまう。本書は、古本屋をウロウロしていて、売られているのを見つけた。えぇいつの間に発売されたのと驚き、最近彼女の新作をチェックしていないことを思い出した。ただ、古本屋ではそれを買わずに、帰宅後図書館に予約し、2カ月待って読むことができた。
「しょうがの味は熱い」は彼氏と同棲してしばらくしてから、女性と彼氏の視点で交互に語られていく。「自然に、とてもスムーズに」は、同棲して3年後の話だ。結婚したい女性と、それに答えられず踏ん切りがつかない彼氏。それぞれの心理が微妙に語られていく。
「しょうがの味は熱い」の女性の視点の部分は「体言止め」が多く使われ、リズミカルな文章になっていたのに、「自然に、とてもスムーズに」では「です・ます調」になっている。何か意図があるのだろうか。彼氏視点の文章はそのままなので、女性の気持ちの変化でも表しているのだろうか。

ちょっと物足りなかったかな…。

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