上野日記

自分が主人公の小さな物語

五木寛之の『下山の思想』を読んだ

五木寛之の『下山の思想』を読んだ。2011年12月に幻冬舎新書より刊行されたエッセーだ。年末に読んだ『悲しみの効用』の三カ月後の発行だ。新聞広告で知りいつか読みたいと思っていたら図書館の書架で見つけた。

裏表紙の説明より。

どんなに深い絶望からも人は起(た)ちあがらざるを得ない。すでに半世紀も前に、海も空も大地も農薬と核に汚染され、それでも草木は根づき私たちは生きてきた。しかし、と著者はここで問う。再生の目標はどこにあるのか。再び世界の経済大国をめざす道はない。敗戦から見事に登頂を果たした今こそ、実り多き「下山」を思い描くべきではないか、と。「下山」とは諦めの行動ではなく新たな山頂に登る前のプロセスだ、という鮮烈な世界観が展望なき現在に光を当てる。成長神話の呪縛を捨て、人間と国の新たな姿を示す画期的な思想。

昨年初めに読んだ藤原和博氏の『坂の上の坂』とは逆パターンか…。五木寛之氏の考えは「『下山』とは諦めの行動ではなく新たな山頂に登る前のプロセス」と前向きな考えだった。なるほどね〜。下山しながら人生を振り返るのもいいかもしれない。

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