上野日記

自分が主人公の小さな物語

綿矢りさの『ひらいて』を読んだ

綿矢りさの『ひらいて』を読んだ。2012年7月に新潮社より刊行された長編小説だ。

主人公は高校3年の少女。同じクラスの変わった名前の男子に恋をした。1年の時も同じクラスで気になっていて、3年でまた同じクラス。「1年のときよりも、ずっと深く心ひかれた」と。
読み進めるうちに『蹴りたい背中』を思い出した。その主人公と何となく似て切るような気がする。ちょっとうろ覚えだけど。ただ、この少女はちょっと違い、あまりにも大胆で、意外と積極的、そして我儘。彼の彼女を探し出し、1年の時のクラスメイトと分かりそれとなく友達になり、そして彼氏奪取を企てる。ところが思わぬ方向に話がはがれてしまう。彼女は病気のことで悩み、彼は父親のことで悩み、それぞれの思いを主人公の少女は知る。誰かに心を「ひらいて」ほしいと思っている寂しがり屋なのかもしれない。

途中から今までの綿矢りさっぽくないなと思い始める。文章のリズムは割と好きなのだが、彼女が持つイメージ(テレビでちょっと見ただけだけど)からいつも何となく物足りなさを感じてしまったが、今回の作品はほんのちょっと違ったかな。

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